2016年5月26日木曜日

第16回 OsiriXの標準レポート機能を使いこなす!

前回は構造化レポートその1として、OsiriXを使った画像診断レポートの作成方法や構造化レポートの例をご紹介いたしました。

今回は、もう少しOsiriXの標準のレポート機能を使いこなすための工夫をご紹介させていただきます。

おさらい


OsiriXのレポート機能をご存知でない方は、第15回の記事(https://vis-osirixhowto.blogspot.jp/2016/05/15osirix1.html)をご参照ください。

いろいろなテンプレート


北米放射線医学会のホームページから、いろいろな画像診断医が考案したレポートのテンプレートが公開されています。
興味のある領域を選択して、ご参考にされてください。


テンプレートを自作しよう!


それでは、上記のRSNAのページも参考にしながら、自分だけのレポートテンプレートを作成してみましょう。

執筆時点では、PagesのテンプレートはPagesバージョン9に依存しているようですので、今回はMicrosoft Wordで試していきます。Wordのいろいろな機能を使ってレポートを構成してみたいと思います。

まず、OsiriX Data>WORD TEMPLATEで、OsiriX Basic Report.docをコピーあるいは任意のワードドキュメントデータをこのフォルダに作成します。ファイル名はなんでも構いません。

編集するテンプレートデータをダブルクリックして開けばすぐに編集を始めることができますが、まずは焦らず、OsiriX Basic Report.docの内容を確認していくことから始めていきます。

OsiriXに仕込まれているAppleScriptを使って属性情報入力を自動化しよう!


OsiriX Basic Reportを開いてみると、«»で囲まれている文字があります。
実は、これは評価対象のスタディから自動的にDICOMタグ情報を取得するための工夫がされているマークです。この工夫というのは、Officeのプレースホルダ機能です。

(グレーになっている文字列がDICOMタグから取得される)

OsiriXのレポート機能はAppleScriptが設定されており、レポートテンプレートの文章からプレースホルダーの«»の要素を検索して、DICOMタグの情報をコピーしてくれる仕掛けが施されています。

手入力では入力ミスなどが起こってしまうので、活用したい機能です。

このDICOMタグの指定の方法は、スタディレベルの情報を固有名詞の文字列で指定する方法と、直接DICOMタグを指定する方法があります。
  • Studyレベル Database fields: 次の文字列をプレースホルダで指定します。
  • accessionNumber, comment, comment2, comment3, comment4, date, dateAdded, dateOfBirth, dateOpened, dictateURL, institutionName, modality, name, numberOfImages, patientID, patientSex, patientUID, performingPhysician, referringPhysician, reportURL, stateText, studyInstanceUID, studyName
  • DICOM Field: Pages'09文書のみ、次の2つの書き方で指定できます。(要確認、Wordや最新のPagesでもできるやり方があるかもしれません)
  • «DICOM_FIELD:0x0010,0x0010»
  • «DICOM_FIELD:PatientsName»

プレースホルダーを設定するには、ドキュメントの種類によって操作が異なります。
Wordの場合は、メニューの挿入>フィールドを選択して、MergeFieldを選択して、文字列を指定します。例えば、referringPhysicianを取得したい場合は、次のように設定します。

(Wordでプレースホルダを設定する様子)


こうすることで、AppleScriptにこの文字列が検索されるようになり、自動で置き換わるようになります。

Pagesの場合は、«referringPhysician»と入力したのち、この記号を含む文字を選択状態にして、フォーマット>詳細>プレースホルダテキストととして定義を設定します。このとき、改行記号を含めないように注意してください。

ちゃんとプレースホルダが設定されれば文字の背景色が変わるので、設定の有無を確認できます。

プレースホルダに指定しておかなければ、認識されず置換が行われませんので注意してください。

いろいろやってみよう!


それでは、おおまかにOsiriXのレポートテンプレートの作り方がわかってきたところで、いろいろなテンプレート素材を検討していきましょう。

◯いろんなDICOMタグの属性情報をテーブル表示で自動取得する

スタディレベルの一通りのタグを取得してみました。空欄になっているセルは、タグがないか、タグに値がないものです。検査の基本情報を表にできるのはいいですね。

(Wordテンプレート)
(サンプルデータを選択してレポートを作成、自動でタグ情報を取得)

◯Key imageを挿入するためのイメージプレースホルダーを設定する
※Pages'09ではできませんのでWordでお試しください。

画像を挿入して、イメージのプレースホルダ設定をOnにしておけば、その位置にキー画像を貼り付けられます。


◯定型文書を入力するためのドロップダウンリストを活用する

Wordの開発タブを有効にして、フォームコントロールからコンボボックスを設定し、文章を編集し終わったら最後に「フォームを保護」します。

こうしておくと、定型文をコンボボックスから選択するだけで入力が完了しますね。

(リストには自由な文章を入れられます)

ただし、フォームを保護すると、各種のプレースホルダが使えなくなるので悩ましいです。

その他、PagesやWordは、動画をはめ込む、音声をはめ込む、メールで送信する、などなど、ここでは紹介しきれないほどの多彩な機能を持っています。

この辺りは、時間があるときにまた更新します!

最後に


OsiriXのレポートテンプレートは簡単に作成することができます。

疾患ごとにテンプレートを変えたり、レポートの種類(1次読影、二次読影など)で分けたり、ドーズレポートを作成したりと、いろいろな工夫ができると思います。

DICOMタグを文章中に自動取得することもできますし(Pages'09がおすすめ)、ドロップダウンリストを活用したい人はWordを使うことができます。プレースホルダーを活用すれば、入力手順を誘導することも工夫次第でできそうですね。

また、今回はご紹介しておりませんが、WebでHTMLベースのレポーティングも技術的には可能です。

今回は以上です!

Visioanry Imaging Services, Inc.は、OsiriX用の独自のレポートテンプレートの作成についてご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。
よろしくお願いいたします!


2016年5月25日水曜日

第15回 OsiriXの構造化レポート!(その1)

今回は、画像から得られるエビデンスを記録する非常に重要なドキュメントである構造化レポートについて、OsiriXを用いた操作方法や操作上の工夫を中心にご紹介いたします。

ご参考;
OsiriXを用いたレポーティングでは、Macの機能を使って簡単に音声入力が可能なことをご存知でしょうか。もしご存知でなかった方は、一度お試しください。
Macでテキストを音声入力する

画像診断レポート


このレポートは、医師(一般的に放射線科の画像診断医)が作成する画像診断報告書です。
根拠に基づく医療という言葉をご存知の方は多いと思いますが、この画像診断報告書は、主治医と患者が最適な治療を行うために、確かな画像から得られるたくさんの情報を正しく理解して治療に役立てるための報告書です。画像診断医は、医師の中で画像の専門家として活躍されています。
その画像診断医を陰ながら支えている放射線技師、看護師、医療事務などもいます。

画像検査の結果、最終的に患者さんの手に届くのはこの画像診断報告書なのですが、最近ではその作成の過程で作られるレポートも研究が進んでいます。例えば、放射線技師が行うチェック診断や一次読影があります。

(一般的な画像検査は主に放射線技師の役割になるため、実際に検査をした放射線技師にしか気付けない画像上の変化や行った手技などを画像診断医や主治医と共有するために、このようなチェック診断や一次読影というものが必要とされつつあります。)

画像診断レポートは、医療の中で重要な役割を果たしているため、そのニーズも高く、レポートの質を高めるための研究も行われています。

例えば、自然言語処理(Natural Language Processing)を用いた入力文章の入力補助や、統制用語や疾患ごとの画像診断知識のモデル化などがあります。

このようなレポートの質を高めるための研究成果を実装する技術として近年注目され始めているのが構造化レポートです。

構造化レポート


構造化レポート(正式には、構造化画像診断報告書:Structured radiology report)は、一般的に、ベストプラクティスなレポーティングテンプレートを開発するためのフレームワークを提供するものとして認識されています。

誤解を恐れずに表現すれば、料理のレシピを連想してもらうといいと思います。
料理のレシピはその料理の最終成果物と作る手順・材料・分量がわかりやすくまとめられています。そして、筆者の考察やワンポイントアドバイスなどもあります。

料理のレシピと同様、画像診断のための構造化レポートも実施された画像検査に対する画像診断の目的と画像の特徴をわかりやすくまとめるためのテンプレートになっています。

なぜ、テンプレートになっているとメリットがあるのでしょうか?

筆者が思い当たるものとしては、知識支援(意思決定支援を目指したもの)とデータベース化などがあります。

このうち、知識支援のメリットについて補足しますと、

人間の脳には限界や差があります。

例えば、この瞬間に脳をフル活用して第六感を目覚めさせなさいとお願いされても難しいでしょうし、3秒間見せられた写真をデッサンでなるべく客観的に再現しなさいといわれても、そのデッサンの結果は人それぞれです。疲労や体調による集中力の波、記憶、書き手が学んできた学術体系の違いなどにもよると思います。完璧に再現できたと評価されるものとそうでない者が現れてしまうでしょう。

これらの結果のバラつきを小さく留め、全員が尤もらしい解を出すためには、尤もらしい解に近づきやすくなる知識が必要です。

十分に解明された特定の疾患を対象とした画像診断レポートがあらかじめ構造化(テンプレート化)されていたら、記載されるキー情報の的も絞られ、書き手のスキルに依存する属人化を小さく留めることができると思います。

それでは、実際にどのようにレポートが作られるか、その例としてOsiriXを使ってそのフローを体験してみたいと思います。

OsiriXの標準レポーティング機能


OsiriXは標準のレポーティングに以下の一般的なドキュメントエディタを利用しています。
  • Pages
  • Microsoft Office word
  • Libre Office
  • リッチテキスト(.rtf)
デフォルトではPagesの設定になっています。
変更するときは、OsiriXの設定画面から設定を切り替えます。

(画面下のReportで切り替え)

以下、Pagesの例を示していきます。

1.作成

レポートを作成するには、レポートを作成したい患者のスタディをデータテーブルで選択した状態で、「Report」メニューアイコンを選択します。
すると、あらかじめ設定されたPagesのテンプレートドキュメントが立ち上がります。


立ち上がったPagesで所見や診断を記載して、必要に応じてキー画像もPNG形式でコピー&ペーストできます。
キー画像のコピペは、2Dビューワに表示されている画像をcommand+Cでコピーし、Pages上でcommand+Vでペーストします。

(レポート編集画面)

Pagesの基本的な機能を利用できるので、デザインの変更も可能です。

レポートを編集後、Pagesを終了すれば、自動的にスタディレベルで.pagesデータが保存されます。
再度編集したい場合は、もう一度同じ患者のスタディを選択した状態で、レポート機能を起動すれば、前回保存したレポートを編集できます。

(Brainix(スタディレベル)にレポートが保存されていることがわかる)

もし、もう編集をしない(できないようにしたい)ということであれば、File>レポートからPagesファイルをPDFに変換して保存しておくこともできます。

レポートの保管場所


上記のように、OsiriXのデータベーステーブル上でレポートの保管状態を確認できますが、実際のデータはDICOMデータと同様、OsiriX Dataに保存されています。

(先ほどのレポートがOsiriX Data>REPORTSに保存されている)

このOsiriX Data内に、PAGES TEMPLATESというフォルダも含まれていることがわかります。このフォルダの中に、「OsiriX Basic Report.pages」があります。このドキュメントが、レポート機能を起動したときに初期設定で呼び出されるようになっています。

もし、レポートのテンプレートを自分流にアレンジしたい!という方は、このテンプレートを編集して、デフォルトで自分のテンプレートを起動できるようにしましょう。
具体的な詳細説明は次回詳述いたします!

以上が一般的なレポーティングの機能です。
次に、構造化レポートのケースを見ていきます。

OsiriXの構造化レポート


OsiriXはバージョン7から構造化テンプレートプラグイン機能が拡張されました。
2016/5時点でデフォルトで使える構造化レポートは次のものがあります。


例として、TAVIレポートを見ていきます。


まず、CTアンギオ画像を2Dビューワで開きます。
それから、プラグインメニューからTAVIを選択します。


あとは、表示されたレポートにステップバイステップで入力をしていくと、最終的にキー画像と計測値がまとまったレポートが完成します。

(必要な特徴をまとめたレポートが作成されたことがわかる)

TAVIレポートについてのより具体的な内容は、こちらをご参照ください。
http://www.osirix-viewer.com/osirix_plugins/TAVIReport/html/manual.html

Pagesで作成するレポートのように、一般的なレポーティングではほとんどの文章をフリーテキストで入力しなければならなかったのに対して、構造化レポートでは、必要な評価項目や記入内容が構造化された上で、フリーテキストで考察できるように設計されていることがわかります。

このように構造化されていることで、フリーテキストで報告される内容よりも、レポートの記載内容が統一されるため、情報の共有にはメリットがあると思われます。

また、この構造化レポートはPACSの中でDICOMとして取り扱うことができます。

(補足)DICOMと構造化レポート


構造化レポートはDICOMで取り扱われます。
DICOMって?と思った方はこちらをどうぞ。


ここでは詳しい話は割愛しますが、DICOM構造化レポート(DICOM-SR)のリファレンスはたくさんあります。
例えば、D.Clunie先生が公開されている資料も参考になります。

最後に


今回はOsiriXのレポーティング機能を中心として、構造化レポートについてご紹介させていただきました。

構造化レポートのメリットは、知識支援やデータベース化などが挙げられます。
電子カルテに記載される診察記録やアナムネのように、構造化レポートもPACSの中で意思決定支援を見据えて着々と進化しています。

構造化レポートは研究分野としてみるとまだ歴史の浅い試みではありますが、フリーテキストよりもデータの蓄積のメリットはあるため、適応が拡大されることを個人的には願っています。

そして、医師だけではなく、医師以外のメディカルスタッフにも理解されやすい情報伝達ツールになることを期待しています。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。
よろしくお願いいたします!

2016年5月18日水曜日

第14回 OsiriXBridge(OsiriX MeVisLab bridge)の紹介!

今回は、OsiriXのプラグインの一つであるOsiriXBridgeを紹介します。

OsiriXは医用画像処理アプリケーションですが、その機能の一部であるサーバー機能を使って、外部の画像処理アプリケーションと併用されることもあります。OsiriXを便利な画像ファイルマネージャとして使えると、OsiriX以外の画像処理ワークステーションやDICOMビューワとシームレスにデータのやり取りができます。

今回は、OsiriXをファイルマネージャとして使った例として、MeVisLabのOsiriXプラグインであるOsiriXBridgeをご紹介いたします。

MeVisLab?


MeVisLabは、医用画像処理と可視化のための迅速なプロトタイピングおよび開発プラットフォームです。執筆時点では、ドイツのMeVis Medical Solutions AGが開発しています。

詳しくはこちらをご参照ください。(http://www.mevislab.de/
ダウンロードはこちらから。(http://www.mevislab.de/download/

その画像処理ライブラリは次の要件を満たします:

  • 6次元画像処理(x, y, z, color, time, user-defined)
  • 急速に発展する研究領域のための完全なモジュール式のC ++インターフェイスで、既存のものを改善/変更したり、新しいアルゴリズムを開発する簡単な方法を提供
  • アルゴリズムからアルゴリズムを組み合わせるパイプラインやネットワーク簡単な方法を提供
  • DICOMなど、標準インタフェースに対応する臨床環境への迅速かつ容易な統合
  • 画像処理における、ページベース、デマンドドリブンアプローチのための臨床ルーチンを考慮した公正なパフォーマンス
主な機能は以下の通りです。

  • Basic image processing algorithms and advanced medical imaging modules
  • Flexible and dynamic 2D/3D visualization and interaction tools
  • Graphical programming of complex, hierarchical module networks
  • High performance for large datasets
  • Modular, extensible C++ image processing library
  • Easy-to-use parallelization options using multi-threading or background processes
  • Object-oriented GUI design and scripting
  • Powerful scripting functionality using Python and JavaScript
  • Integrated text editor with advanced auto-completion and debugger
  • DICOM support and PACS integration
  • Built-in profiler and unit test framework
  • Generic integration of the Insight Toolkit (ITK) and the Visualization Toolkit (VTK)
  • Cross-platform support for 64-bit Windows, Linux, and MacOS X


一般的な画像処理アルゴリズムと可視化ツールのほか、MeVisLabは、セグメンテーション、レジストレーション、容積測定および定量的形態解析および機能解析のための高度な医療イメージングモジュールが含まれています。

これまで、MeVisLabからニューロイメージング、動態解析、手術計画および血管解析のためのソフトウェアアシスタントを含め、多くの臨床プロトタイプが開発されてきました。

開発に出資している会社には、大手の製薬企業や医療機器ベンダーもいます。実際に医療現場で使われている高機能な医用画像処理ワークステーションの機能もMeVisLabで開発されたものを含んでいます。例えば、Syngoなどもその一例です。

MeVisLabは、よく知られているサードパーティのライブラリやテクノロジーを使用しており、最も重要なものは、アプリケーションフレームワークのQt、可視化・相互作用ツールキットOpen Inventor、スクリプト言語のPythonやNumPyおよびグラフィックス標準のOpenGLです。加えて、インサイトツールキット(ITK)と可視化ツールキット(VTK)に基づくモジュールも用意されています。

MeVisLabの医用画像処理例


ここから、MeVisLabでどんなことができるのか、MeVisLabのScreenshotsページのキャプチャ画像を紹介させていただきます。

(血流の流体解析)

心臓の冠動脈解析

冠動脈のOCT画像解析

心臓と冠動脈の3D画像表示

この他にも、頭部の術中支援機能の開発や、トラクトグラフィーの3D画像など、いろいろな機能が考案されています。

これらの機能は、MeVisLabを使えばすぐに誰にでも簡単に作れる!といいたいところですが、MeVisLabの使い方、プログラムコーディングスキルや数学や画像処理に関する知識がなければ、これらのようなプログラムは開発できません。

しかし、勉強さえすれば、こういったアプリケーションが開発できます。時間をかけて徐々にMeVisLabを使えるようになれば、本当に貴重な人材になれるかもしれません。

OsiriXBridge


前置きが長くなってしまいましたが、ここまでで、MeVisLabに興味を持たれた方は多いと思います。そして、このブログを読んでいただいている方は、OsiriXユーザが多いと思います。

OsiriXには、OsiriXBridgeというOsiriXプラグインが用意されています。

正確には、OsiriXをMeVisLabの画像サーバーとして利用できるようにします。

このOsiriXBridgeは、MeVisLabが臨床ユーザーの多いOsiriXと共存できるようにする素晴らしいプラグインです。

以降、その使い方を紹介していきます。

もし、以降の操作をお試しいただく場合は、OsiriXとMeVisLab(2013年のバージョン)のダウンロードとインストールをお願いします。(2016年のバージョンではOsiriXBridgeがデフォルトからなくなっている?ように見えます。私の目で確認しただけなので、間違っているかもしれません)

使ってみよう!

OsiriXBridgeをインストール


OsiriXBridgeのインストールは、MeVisLabを使いながら行います。

同一のPCで、以下の準備をしておきます。

  1. MeVisLab(2013)を起動する。
  2. OsiriX(バージョン3.4以上)を起動する

ここまで準備できたら、次は、MeVisLabにネットワークを作ってみます。
ネットワークとは、MeVisLab上で画像処理を行うためのアルゴリズムを図に示したものです。

このネットワークを作成するために、まず、MeVisLabのメニューのModuleから、File>DICOM>OsiriXBridgeを選択します。



すると、自動的にキャンバス上(ワークスペース上)にOsiriXBridgeというノードが表示されます。

ここから、2つのプラグインインストール方法のいずれかを選択できます。

注意:GRAPHY/OsiriX-KANAGAWAユーザの方は、2016/5/17時点では、インストール方法2の手順でインストールしてください。

インストール方法1)

このパネル上のOsiriXBridgeノードをダブルクリックして、Panel OsiriXBridgeウィンドウを表示します。このパネルの一番左のタブ"OsiriX Setup"で、"Install OsiriX PlugIn"ボタンを押してください。


インストール方法2)

同じ画面右側の"Show OsiriX PlugIn"ボタンを押して、MeVisLabのパッケージの内容に含まれているOsiriXBridge.osirixpluginファイルをコピーし、起動しているOsiriX.appのcontentsフォルダ(ctrl+左クリックで、パッケージの内容を表示で開く)に含まれているpluginフォルダにペーストしてください。その後、OsiriXを再起動してください。

OsiriX-KANAGAWAのユーザの方へ


  • インストール方法2の手順のOsiriX.appをOsiriX-KANAGAWA.appに読み替えてください。
  • Info.plistファイルを以下のように編集してください。編集しない場合、バージョンが読み取られず、OsiriXBridgeプラグインを起動できません。

(OsiriX-KANAGAWA.appのパッケージの内容を表示してInfo.plistをXcodeで開く)

(Information Property Listのプラスボタンを押し、
Bundle versionを追加)
(Bundle versionを追加)
(Bundle versionを4649以上の数字に変更してください)

これで、インストールは完了です。
OsiriXのメニューバーカスタマイズ(メニューバー上で右クリックしてカスタマイズメニュー)から、機能一覧シートを表示し、その中にあるOsiriXBridgeをメニューバーにドラッグ&ドロップしてください。

(シート(右下)にOsiriXBridgeが現れるので、メニューバーに表示させます)

(これです。)

ここまでの操作で、OsiriXとMeVisLabはプラグインを通して画像データをやり取りできるようになりました。ここから、少しだけ使い方を見ていきましょう。

ターゲットネームの設定


OsiriX Setupパネルに、"Alternative target name"というテキストフィールドがあります。これは、OsiriXからDICOMデータをMeVisLabに渡す(ブリッジする)際の指定先になります。デフォルト(ブランクの状態)ではOsiriXBridgeという名前になっています。

OsiriXからデータをMeVisLabにブリッジしたいときに、複数の画像シリーズをいくつかのOsiriXBridgeノードなどで取り扱いたい場合に用います。

例えば、このテキストフィールドに、「MoveToMeVisLab」とすれば、OsiriXのOsiriXBridgeアイコンをクリックすると、ポップアップで「MoveToMeVisLab」を選択できるようになります。ノードが複数ある場合は、このリストが増えます。



さて、次は、いよいよ画像データを使います。

やってみよう!


今回は、一番簡単な方法として、OsiriXBridgeノードに用意されているExampleネットワークを使ってみます。

MeVisLabワークスペース上のOsiriXBridgeノードを右クリックして、そのリストからShow Example Networkを選択してください。


そうすると、次のようなワークスペースの状態になります。


自動で表示されるReadMeメモにも表記がありますが、このネットワークを使うと、OsiriXから読み込まれたデータをこのネットワークの設定に沿って処理し、再度、自動的にOsiriXデータベースに戻す処理が走ります。

この例では、まず、読み込まれたデータを平均化処理し、さらに膨張処理をかけ、膨張処理あり画像となし画像(平均化処理画像)とを差分して、入力されたデータと同じマトリクスサイズで出力するというアルゴリズムが起動します。

手順は次のようになります。

  1. OsiriXのデータベーステーブルで、任意のシリーズを選択(今回は、OsiriXサンプルデータのBrainixのFLAIRで試しています。)
  2. OsiriX上のOsiriXBridgeプラグインを起動し、設定したターゲットネーム(今回はMoveToMeVisLab)を選択
  3. OsiriXデータベースが更新され、帰ってきた処理済みデータを確認

(処理前のFLAIR)
(処理後のエッジ強調画像)

注意:データベースで選択されたデータがしっかりとしたDICOMデータでなければ、読み込みに失敗することがあります。(例えば、患者名がブランクなど。結構シビアです。)

ここまでできた方、お疲れ様でした!

"Advanced Conversion Setup"パネル(補足)


処理のログはMeVisLabのPanel OsiriXBridgeウィンドウの"Advanced Conversion Setup"パネルで確認できます。

もし、エラーがあれば、OsiriXデータベースは更新されず、何も起きません。そのときは、このログを参照してください。

(処理が成功したログ)

このパネルでは、DICOMファイルのインポートのオプションも指定できます。このパネル上のHelpボタンからコマンドが参照可能です。

(DICOM import コマンド「Help」ウィンドウ)

プラグインのソースコード


このプラグインのソースコードはダウンロード可能なSDKフォルダに同梱され、公開されています。秀逸なプラグインで、コードもしっかり書かれています。

以下の場所に格納されています。

MeVisLabSDK_x.x/MeVisLab.app/Contents/Packages/FMEwork/ReleaseMeVis/Projects/MLOsiriXBridge/Sources 

このプラグインソースファイルの場所はバージョンの変更に伴い変更される可能性がありますが、/FMEwork/ReleaseMeVis/のあたりにあると思われます。

GitHubでも公開されています。
https://github.com/MeVisLab/communitymodules/tree/master/Community/General/Projects/OsiriXMeVisLabBridge

終わりに


以上、今回はOsiriXBridgeプラグインをご紹介いたしました。
MeVisLabだけだとちょっと手間、OsiriXだけだとちょっと不満という方にぴったりな画像解析環境ではないでしょうか。どんどん使っていきたいですね。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
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よろしくお願いいたします!



2016年4月30日土曜日

第13回 OsiriXで股関節の計測!-(CE、Sharp)-

いつもOsiriX HOW TO!をお読みいただきありがとうございます。

前回は、OsiriXを使ってPET画像表示をしてみました。今回も、実践的な一例をご紹介したいと思います。今回は、すごくメジャーな計測手法である、股関節の種々の計測(CE、Sharp)について触れていきます。

寛骨臼の計測(CEとSharp)


まず、股関節には臼蓋(きゅうがい、または寛骨臼:かんこつきゅう)という部位があります。股関節の大腿骨頭(足の付け根の丸い部分)と腸骨をつなぐ丸い受け部分です。
以下、臼蓋の図を示します。

(Acetabulum:臼蓋、または寛骨臼)

(大腿骨頭と寛骨を分けたときの図)

(X線写真で正面からみた股関節)

この臼蓋を対象とした各種計測が主に変形性股関節症の診断のために利用されています。

計測手法について、もう少し詳しくみていきましょう。

CE角計測:Central Edge Angle


CE角は、1939年にワイバーグ氏により開発された計測角1,2)です。
計測方法は非常にシンプルで、3本の線を引いて、そのうちの2本の線の間の角度を計測するだけです。

3本の線は、

  1. 両側の大腿骨頭中心を結ぶ線(A線とします)を引きます。
  2. 検側の大腿骨頭中心からA線に垂直な線を 頭側に引きます。
  3. そして、これとは別にもう一本、検測の大腿骨頭中心から、臼蓋外縁の接線を引きます。

手順2と3で引いた線の間の角度が、CE角です。

(CE角計測のための3本のライン:Wiberg,1939)
※図中、B-C-Eの角度がCE角

CE角は、成人で25°以上が正常と考えられていますが、性差や年齢(新生児、乳幼児、小児など)でその範囲が変わります。

また、新生児などの骨端が出現する前の症例では、骨端部近位中央(山室氏の発表しているO点)を骨頭中心の代わりとするOE角もあります。

Sharp角:通称Sharp angle(正式には、Acetabular angle)


Sharp角は、その名の通り、1961年にSharp氏が発表しました。正式には、Acetabular angleといい、直訳で臼蓋角です。α角とも呼ばれています。ただ、臼蓋角というと、同じ呼称で別の意味を持つ臼蓋角もあるので、一般的にSharp角(シャープ角)と呼ばれているようです。

シャープ角も、CE角と同様に、シンプルな角度です。2本の線の間の角度を測るだけです。

まず、左右のY状軟骨の腸骨側の下端(Hilgenreiner line)もしくは、左右のPelvic tear drop(U-figure)の下端を結ぶ線を引きます。小児ならば前者、大人ならば後者です。
次に、臼蓋の内縁と外縁を結ぶ線を引きます。

シャープ角は、これらの2線がなす角度です。

小児のシャープ角計測例:左右Y状軟骨ライン(Hilgenreiner line)が基準
(出典:Case courtesy of A.Prof Frank Gaillard)

(Pelvic tear drop(U-figure))

正常な範囲は、小児の場合(Hilgenreiner lineで計測)で28°よりも小さいこととされています。

これ以外にも、いろいろな基準線や計測角があるようです。

ここからは、上記の代表的な2つの角度を計測していきましょう。

OsiriXでCE角、Sharp角の計測!


サンプルデータとして、股関節が撮影範囲に入っていたMergeを使いました。本来は、ちゃんとX線が垂直入射される股関節の画像で計測するのがベターですが、今回は例なので、こちらを用いてみます。

OsiriXを使って、CE角計測を計測した結果はこちらです。

右股関節:CE angle = 20°でした。

手順は、以下の通りです。

両側の大腿骨頭中心を決めます。

このために、円形ROIを両側の骨頭に設定しました。中心には目視でポイントROIを置きました。(厳密に計測をする際は、この手順の自動化ツールが必要ですね。)

(骨頭の中心を設定)

大腿骨頭中心を結ぶ線を引きます。

ここでは、Perpendicular Lineツールを使います。このラインを、先ほど作成したポイント上に作成します。

(大腿骨頭中心を結ぶ線を引きます)

検側の大腿骨頭中心からA線に垂直な線を 頭側に引きます。

Perpendicular lineを使っているので、大腿骨頭中心を結ぶ線に対する垂線を容易に設定できます。

骨頭中心にPerpendicular line(B,C)を設定

最後はアングルツールで、臼蓋外縁・大腿骨頭中心・垂線の端をクリックして、角度を計測します。

(右股関節のCE角を計測)

簡単に計測できます。

Sharp角も計測できます。Sharp角は、ダイナミックアングルで一息に計測できます。

ダイナミックアングルツールで、右股関節の各基準点にポイントを設置
設置ポイント:左右tear2箇所、臼蓋の外縁
※成人例であるためSharp角はおよそ48°


また、これらの計測状態は保存されますので、見直すこともできますし、計測結果をXMLなどの電子データで出力することもできます。また、このブログのように、計測した結果画像を保存することも可能です。

X線画像以外ではどうだろうか?


ここからは、少し違う視点から、考えてみます。

・CT画像で計測できないだろうか?

被ばくの問題もありますので、実際に利用はされないと思いますが、例えば、3D画像上での計測もできます。Ray-sum画像で計測もできますね。

・MRI画像で計測できないだろうか?

筋肉や腱を見ながら基準点を探すことができるので、これは画期的かもしれません。
3D画像で試してみたいです。
ただ、計測は出来るとしても、MRI検査が動きに弱く、時間もかかるために、臨床での利用は難しそうです。

・超音波画像でできないだろうか?(3D超音波でできるかも?)

最近では、超音波装置で3D画像が得られるようになってきていますので、種々の関節の3次元画像再構成ができるようになれば、もしかしたら、使いやすくて被ばくなしということで、このような計測に一番使われるかもしれませんね。個人的に期待大です。

最後に


今回は臼蓋の角度計測について触れました。
臼蓋の角度計測は、シンプルで手技も簡単です。普及した理由の一つかもしれません。OsiriXはこのような計測も簡単にできます。そして、計測結果の保存や、電子データとしての出力も可能です。臨床だけでなく、研究用途にも使えます。一度試してみてください。OsiriXは無料の高機能医用画像処理ワークステーションです。

参考文献;

  1. Wiberg G. Studies on dysplastic acetabula and congenital subluxation of the hip joint. Acta Chir Scand Suppl. 1939;58:5–132.
  2. The CE Angle of Normal Hips:http://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.3109/17453677608988709
  3. T.YAMAMURO:OE角:http://medicalfinder.jp/doi/10.11477/mf.1408908420
  4. ACETABULAR DYSPLASIA The Acetabular Angle:http://www.bjj.boneandjoint.org.uk/content/jbjsbr/43-B/2/268.full.pdf
  5. Scot E. Campbell, MD:Radiography of the Hip:Lines, Signs, and Patterns of Disease


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2016年4月28日木曜日

第12回 OsiriXでPET画像表示-フュージョン・SUV(bw-max)算出設定を含めて-

いつもOsiriX HOW TO!をお読みいただき、ありがとうございます。

前回は、OsiriXの活用例として、CTコロノグラフィーの画像確認方法をご紹介しました。今回も同様に、実践的な内容を書いていきます。今回のテーマは、PET(ポジトロンエミッショントモグラフィー)画像の表示です。

PETを知ろう!


PETの書籍

まずは、しっかりと原理から知りたいという方向けに、PETに関する専門書籍はたくさん出ています。
臨床での利用方法を重点的に示している書籍や、機器の原理を示しているものまで様々です。

例えば、

全く知らない方向け;
PETに関わる医療者・科学者向け;
※これらの書籍から、深く知りたい分野を探索してみてはいかがでしょうか。

PET画像を見てみよう!


PETは、執筆時点では、画像解像度が他の画像検査機器に比べて低いです。そのため、CTやMRIなどの解剖学的な位置を正確に把握できる画像と組み合わせて利用されることが多くなっています。その代表的な例が、PET/CTです。
一般的に、PET画像は、PET画像とCT画像の2シリーズから構成されています。

PET画像(256*256)

CT画像(512*512)

これらの画像を重ねて表示したものがフュージョンと言われています。

フュージョン

はい、これで、PET/CT画像が見れました。

ここからは、上記の例のように、単純に画像表示するだけで、これらの情報を信じていいのかどうか、少し考えていきたいと思います。

PET/CTのフュージョンについてもう少し


PET/CT装置は、PETスキャナとCTスキャナを一体にした装置です。
この装置を利用することで、同じ位置の画像を得ることができます。
これは、PET/CT検査の一連の流れが、CTスキャンをしてから、同じ体位のまま、PETスキャンをベット単位で順次スキャンしていくので、同じ体の位置のPET画像とCT画像が得られます。この利点を生かしたのが、重ね合わせ画像(フュージョン画像)です。

この他にも、CT画像をPET検出器の吸収補正に利用できるなどの利点もあります。

このように、PET/CT装置は、PETとCTを組み合わせることによる、より質的な観察ができるように考え抜かれています。最近では、CTの代わりにMRIを組み合わせたPET/MRI装置も普及しつつあります。

PET画像についてもう少し詳しく


ここで、PET画像には、表示されるピクセル値の種類やその単位があることをお伝えしておかなければなりません。

画像検査機器が保持している生データをRaw dataといいますが、この生データはDICOMデータに変換されます。このDICOMデータは、PETの場合、主に以下の2つの種類に分かれます。

・放射能濃度のPET画像

単位容積あたりの体内の放射性医薬品からの消滅放射線の光子を検出した数(ディテクターで同時計数したカウント値)をピクセル値として保持しています。その単位には、kBq/ml, MBq/ml, uCi/mlなどがあります。"ml"は"cc"とも書けます。

・SUVのPET画像

standard uptake value(SUV)は放射性薬剤の腫瘍や臓器への集積の強さを表すための指標です。このSUV値がピクセル値になっている画像が一般的なPET画像です。SUVの単位は、g/ccやg/mlという単位になります。
この他にも、SUL(SUVを除脂肪体重で補正した値)という指標もあります。
SUVやSULは、以下のような最大値や最小値などがあります。
  • SUV/L max:関心領域における1ピクセルあたりの最も大きな値
  • SUV/L mean:関心領域における全ピクセルの平均
  • SUV/L min:関心領域における1ピクセルあたりの最も小さな値
  • SUV/L peak:腫瘍などの高集積部位における指定サイズ(例えばPERCISTでは、1cm3のROI=1.2cm直径円形ROI)に設定されたROIで計測されたSUV/L mean
このうち、一般に普及しているのは体重から換算されたSUV(bw)のSUV maxです。

以上を踏まえた上で、OsiriXを使って、もう一度、PET/CT画像を参照していきましょう。

OsiriXでPET画像(SUV画像)を参照!


先ほどまでは、特に何も気にせずにPET画像を表示していました。しかし、実際には、表示してから確認しておかなければならないことがあります。

それは、PET画像の種類と、SUVの計算設定です(OsiriXは執筆時点でSUV(bw)の画像処理が可能)。

それでは、OsiriXでSUVの計算や表示設定がどのようになっているかを確認していきます。この例では、OsiriXサンプルデータのLungixを使っていきます。

まず、表示しているPET画像が、SUV画像かどうかを確認します。モダリティから出力される時点で、"SUV"というキーワードが、DICOMヘッダーに格納されているか、あるいは、実際に画像の任意の場所でピクセルの信号値を計測してみると、判別ができます。
確実な方法は、後者です。

仮に、カウント値がピクセル値として格納されている場合は、ピクセルの信号値が非常に高くなります(例えば10000〜30000(8bitで最大32767)など)。

Lungixの例では、以下のようになります。

Bq/ml画像

(病変部の信号値:最大値28251)

単位も見れば一目瞭然ですが、画像コントラストだけでは、意外に判別がつきづらいと思われます。

ここで、すでにSUV画像であればよいのですが、もしそうでない場合、OsiriXでは環境設定からPET表示の設定が可能です。

環境設定からPETを選択(中央)

SUV Computationが未チェックの状態を

SUV Computationにチェックして設定

このように設定した後、もう一度、2Dビューワを開き直します。
すると、ピクセルがSUVに換算されます。

SUV画像

(病変部の信号値:最大値10.1)

SUV(bw) maxやmeanなどの値であれば、18F-FDGを利用した場合、おおよそ最大15程度です。

PET環境設定画面をもう少し詳しく


PETの環境設定では、便利な機能が揃っています。

ウィンドウレベルの絞り設定


表示するピクセル値の範囲を指定します。

次の画像は、SUVを極端に8-10に絞った画像表示例です。

設定画面:SUVの下限を8、上限を10に設定

SUV画像表示結果:病変部


このように、SUV画像を参照するときに、SUVの最大・最小を決めて画像を表示すれば、集積の多い箇所だけを素早く見つけることができます。仮に、Bq/ml画像でも、全スライスのうちの最大ピクセル値を100%として表示する設定をすれば、同様の表示が可能です。

フュージョン表示方法の選択


PET画像のオパシティを決定するための表示方法を選択できます。

選択画面

Linear:線形伝達関数です。低いところは低いオパシティ(つまり透明)、高いところは高いオパシティで表示します。


High-Low-High:信号が高いところも低いところも、オパシティを高くします。


Low-High-Low:信号が高いところも低いところも、オパシティを低くします。


Log:logarithmic curve(対数曲線)でオパシティを決定します。


Inverse Log:Logを反転したオパシティを決定します。


Flat:リニアでフラットなオパシティを設定します。すべてのピクセルが、50%のオパシティとなります。


SUV算出に利用する撮像開始時刻選択


次に、細かい部分になりますが、非常に重要な設定を確認します。それは、PETの撮像開始時刻です。OsiriXをはじめ、いろいろなPET画像解析ソフトウェアは、SUVの算出のために撮像時刻を必要とします。この撮像時刻は、DICOMヘッダーデータに格納されています。ただし、施設やモダリティベンダーによって、真の撮像開始時刻が格納されるDICOMタグが異なる場合があるため、しっかりと確認しておく必要があります。

例えば、OsiriXでは、以下のDICOMタグを選択できます。

撮像時刻の選択画面

これが、バラついていると、SUVの値が変わってしまうために、非常に重要な設定になります。

参考までに、OsiriXのSUV(bw)算出式は以下の通りです。

Pix=PET image pixels
Pw=Patient weight(kg)



放射能量計測時刻補正投与放射能量 [C:Corrected activities] (MBq)

T=Tracer activities
tS=scan time
tM=measured time

ここまでの手順のような確認をしながら画像が参照できれば、ようやく表示されているSUV画像を信じることができます。

フュージョン画像の位置調節


最初にフュージョン画像を表示していましたが、このフュージョン表示も重ね合わせの位置を調節することができます。この機能によって、スキャン時に体動があったとしても、ある程度は補正することができます。
残念ながら、この例で使用しているLungixでは、スライス厚が異なることと、スライスギャップがあるために利用できませんが、本来であれば、以下のような操作ができます。

フュージョン画像を表示した状態で、2Dビューアまたは直行MPRのツールから、3D positionを選択します。オリエンテーションマークと似ていますが、異なる機能です。

直行MPRを表示

3Dポジションツールを選択 

位置関係を微調整


この機能はマニュアル操作ですが、ちゃんとした3Dデータ(スライス厚やスライスギャップのない)があれば、CTウィンドウにPETウィンドウをドラッグ&ドロップして出てくるポップアップから、registration/Point-Based Registrationを選択して、horn registration algorithmsを用いた剛体レジストレーションを行うことも可能です。

このときのウィンドウのドラッグにはコツがあり、ウィンドウ上部に表示されているDICOMデータマークをつまむようにする必要があります。

画像ウィンドウ上部のDICOM画像マークをしっかりつまんでドラッグ

PET画像をCT画像にドラッグ&ドロップ


今後は、非剛体レジストレーションなどの機能が実装されることが期待されています。

最後に


PETスキャンは、ダイナミック検査による動態解析から、受容体結合能の推定にも利用されています。非常に高度で、期待されている検査・診断技術です。

しかし、いくつかの課題もあるようです。例えば、サイクロトロンを保有していない施設への放射性医薬品のデリバリー、装置ごとの品質の違いを最小化するPETの標準化やファントム開発などです。このファントム開発に関連して、デジタルファントムの研究開発もQIBAの研究グループによって進められています。

話を戻しますが、

OsiriXはPMODのようなPET専用の解析ソフトではありませんが、上述のような、画像参照には便利な機能が揃っています。無料で試せることも魅力です。一度試してみてはいかがでしょうか。

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