2015年8月23日日曜日

第1回 OsiriXとは?

記念すべき第1回は、OsiriXの背景について、調べられる範囲でご紹介させていただきます。みなさん、OsiriXを知って、もしご興味があれば使っていきましょう!ソフトウェアは研究用途なら無料です!
筆者は、OsiriXの開発の歴史に少しでも触れることで、開発者の想いなどを汲み取って、このツールを扱うことができるようになるのではないかと考えています。

OsiriX(オザイリクス)について

OsiriXは、一般的に、DICOMビューワ(またはワークステーションともいえる機能を有する)として利用されています。OsiriXはDICOM画像に協調したイメージプロセッシングソフトウェアですが、DICOMだけでなくさまざまな画像フォーマットをサポートしています。

このOsriXのゴールは、MRI、CT、PET、PET-CT、SPECT-CT、超音波など、「放射線医学機器によって生成される画像の最良のビューワとなること」です。

これを実現するためのキーとなる機能は、画像の表示、読影、ポストプロセスをターゲットにしています。OsiriXは技術的に進んだポストプロセッシングテクニックを2D/3Dで提供します。また、dcm4cheeのようなさまざまなPACSとの統合も可能です。64-bitのOSにも対応しており、この環境で利用された時にベストパフォーマンスを発揮します。

OsiriXはオープンソースプロジェクトで作成され、LGPLライセンスで配布されています。
このオープンソースのバージョンだけなく、OsiriXは幾つかのバージョンを準備しており、その中には認証機関に認証されたバージョンもあります(FDA認証など)。
臨床で診断に利用する場合は、このような認証されたバージョンのOsiriXを、適正なモニターを使って利用することができます。
また、OsiriXはさまざまなオープンソース技術に支えられています。

開発ヒストリー

開発のスタート

OsiriXプロジェクトは2003年11月からスタートしています。
初期バージョンはAntoine Rosset氏(スイスの放射線科医師)によって開発されました。このとき、いろいろなグラントから資金提供を受けています。
OsiriXプロジェクトの最初のゴールは、Rosset氏の友人にティーチングファイルのデータベースを作成するためのDICOM画像をQuickTimeで見れるようにする小さなソフトウェアをシンプルに書くことでした。
Rossset氏は2週間以上を費やしてクロスプラットフォームで動作するJavaのライブラリを探していましたが、ちょうどMacOSX10.3がアップル社からリリースされ、このOSを利用すれば早期に、ロバストでモダンなDICOMビューワが作れると考えたそうです。

1つのDICOMビューワが世界をつなぐ

小さなプロジェクトが若い放射線科医から始められ、OsiriXをLGPLライセンスで開発するためにSource Forgeにアカウントが作られたのは2004年4月のことでした。
最初のバージョンは6ヶ月もかからずに開発されました。(このバージョンは、ポストプロセッシング機能や計測ツールなどのないシンプルなDICOM画像表示と基本的なデータベースがあるだけでした。)
その後、Joris Heuberger氏がUCLAに6ヶ月間のフェローシップで参加し、このときにOsiriXのフライスルーアルゴリズムやサーフェスレンダリング、ボリュームレンダリングのプラグイン機能を開発しました。
その後、2005年にAppleのデザインアワードを受賞するなど、躍進が続き、その後、2009年、ついにGeneva University HospitalにオフィシャルなDICOMビューワとして導入されました。
その後、献身的なアメリカの医師が加わり、DICOM NetworkプロトコルやDCMTKをObjective-Cで利用するDCM Frameworkが追加されました。
そして、2009年3月にこの3人が非営利団体のOsiriX Foundationを設立しました。
このファンデーションは学生がオープンソースソフトウェアを開発するときに資金提供を行っています。また、OsiriXをベースにしたポストプロセッシングやデジタルイメージングの表彰などを行っています。
2010年2月、Rosset氏とHeuberger氏はPixmeo社を設立し、FDAの承認などの活動を展開しています。

今や、OsiriXのユーザーは4万人以上と言われています。
OsiriXはこの圧倒的なユーザーからのフィードバックを受けて進化しています。その中には大学や臨床医も含まれています。
この進化に敵うDICOMビューワは数少ないように思います。

システム要件(2015/8時点)

最小のシステム要件は以下の通りです。

  • OS:MacOSX10.7以上
  • CPU:Intel base
  • Memory:4GB
  • モニター解像度:1280×1024

推奨のシステム要件は次の通りです。

  • モデル:MacPro
  • OS:10.9以上
  • CPU:3.5GHz Quad-core Intel Corei7以上
  • Memory:16GB(DDR3)以上
  • HDD:7200 rpm Serial ATA or SSD
  • モニター解像度:最小で2048×1152
ここまで読み進めていただいた方にはすでにお分かりかと思いますが、OsiriXはMacでしか動かすことができません。
今のところ、Mac OSXは、Mac以外の機器で起動することをライセンス上許可されていないので、仮想OSなどでも、Windowsでは起動できません。

みなさん、思い切ってMacでどうでしょうか笑。

大企業のパッケージPCもいいかもしれませんが、ハードウェアは7年間使うようなら、知らない間に決まっているチープかもしれないハードより、そこまでこだわって構築した"使える"ハードウェアを使いたいですよね。

今のシステムと比較する価値はあるかもしれませんよ。

読んでいただきありがとうございました!
次回はインストールについてご紹介予定です!

ビジョナリーイメージングサービスは、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、GRAPHYを開発しています。オープンソースです。

2015/8/23 VISブログ担当

参考URL;
  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/OsiriX
  2. http://www.osirix-viewer.com/AboutOsiriX.html
  3. OsiriX Manual

OsiriX HOW TO! 「はじめに」

VIS, Inc.のブログ担当です。

OsiriXは医用画像解析のための頼れるツールです。

本ブログでは、ユーザーの立場から、OsiriXの使い方をご紹介させていただきたいと考えております。使い方は、机上理論ではなく、本当に現場で必要な「生」の使い方を意識していきたいと思います。

Have fun !!

ビジョナリーイメージングサービスは、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、OsiriX-OSを活用した「GRAPHY」(旧OsiriX-KANAGAWA)を開発しています。オープンソースです。

編集予定

  1. 第1回 OsiriXについて
  2. 第2回 OsiriXのインストール
  3. 第3回 OsiriXの導入事例:スイス・ジュネーブ大学病院
  4. 第4回 OsiriXのパワフルな機能の紹介
  5. 第5回 OsiriXの画像表示機能!
  6. 第6回 OsiriXのパワーを引き出すプラグイン総説(簡単にご紹介)
  7. 第7回 OsiriXの開発環境構築(警告メッセージなしのOsiriX Lite)
  8. 第8回 OsiriXのプラグイン開発方法-Hello OsiriX! dialog-
  9. 第9回 OsiriXを用いた医用画像の表示-2D表示の詳細-
  10. 第10回 OsiriXのデータベース
  11. 第11回 OsiriXでCTコロノグラフィ画像確認!
  12. 第12回 OsiriXでPET画像表示-フュージョン・SUV(bw-max)算出設定を含めて-
  13. 第13回 OsiriXで股関節の計測!-(CEとSharp)-
  14. 第14回 OsiriXBridge(OsiriX MeVisLab bridge)の紹介!
  15. 第15回 OsiriXの構造化レポート!(その1)
  16. 第16回 OsiriXの標準レポート機能を使いこなす!
  17. 第17回 OsiriXでRECIST1.1評価を学ぶ!(評価クライテリアシリーズその1)
  18. 第18回 放射性核種の放射能量減衰計算ツールの紹介
  19. 第19回 OsiriX-KANAGAWAのインストール
  20. 第20回 OsiriXの計測ツール活用!(ROIツール、ROIマネージメント)
  21. 第21回 OsiriXを快適に利用するためのハードウェア
  22. 第-回 OsiriXとEDCの連携!(OpenClinicaBridgeプラグイン)
  23. 第-回 OsiriXの3Dビューワ機能詳述(医用画像3DレンダリングデータをSTL出力するまで)
  24. 第-回 MRIで心筋を解析する-InTagプラグイン-
  25. 第-回 OsiriXのMPR機能詳述(Orthogonal, curved etc)
  26. 第-回 OsiriXを臨床試験のモニタリング業務で使う!(イメージングスタディのリスクベースドモニタリング:概論編:その1)
  27. 第-回 OsiriXを臨床試験のモニタリング業務で使う!(イメージングスタディのリスクベースドモニタリング:RACT編:その2)
  28. 第-回 OsiriXで考えるエルゴノミクス!
  29. 第-回 OsiriXのDICOM通信設定(DICOMサーバーに繋げよう!)
  30. 第-回 OsiriXのファイルマネージメント
  31. 第-回 OsiriXで動画作成!
  32. 第-回 OsiriXの画像フィルタリング機能
  33. 第-回 OsiriXでCTコロノグラフィのフライスルー
  34. 第-回 OsiriXのセキュリティ
  35. 第-回 研究用無料クラウドDICOMサーバー(AWS)とOsiriXの接続
  36. 第-回 OsiriXの多言語化


本ブログの運用について

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Visionary Imaging Services, Inc.
CEO Tatsuaki Kobayashi