筆者は、OsiriXの開発の歴史に少しでも触れることで、開発者の想いなどを汲み取って、このツールを扱うことができるようになるのではないかと考えています。
OsiriX(オザイリクス)について
OsiriXは、一般的に、DICOMビューワ(またはワークステーションともいえる機能を有する)として利用されています。OsiriXはDICOM画像に協調したイメージプロセッシングソフトウェアですが、DICOMだけでなくさまざまな画像フォーマットをサポートしています。このOsriXのゴールは、MRI、CT、PET、PET-CT、SPECT-CT、超音波など、「放射線医学機器によって生成される画像の最良のビューワとなること」です。
これを実現するためのキーとなる機能は、画像の表示、読影、ポストプロセスをターゲットにしています。OsiriXは技術的に進んだポストプロセッシングテクニックを2D/3Dで提供します。また、dcm4cheeのようなさまざまなPACSとの統合も可能です。64-bitのOSにも対応しており、この環境で利用された時にベストパフォーマンスを発揮します。
OsiriXはオープンソースプロジェクトで作成され、LGPLライセンスで配布されています。
このオープンソースのバージョンだけなく、OsiriXは幾つかのバージョンを準備しており、その中には認証機関に認証されたバージョンもあります(FDA認証など)。
臨床で診断に利用する場合は、このような認証されたバージョンのOsiriXを、適正なモニターを使って利用することができます。
また、OsiriXはさまざまなオープンソース技術に支えられています。
開発ヒストリー
開発のスタート
OsiriXプロジェクトは2003年11月からスタートしています。初期バージョンはAntoine Rosset氏(スイスの放射線科医師)によって開発されました。このとき、いろいろなグラントから資金提供を受けています。
OsiriXプロジェクトの最初のゴールは、Rosset氏の友人にティーチングファイルのデータベースを作成するためのDICOM画像をQuickTimeで見れるようにする小さなソフトウェアをシンプルに書くことでした。
Rossset氏は2週間以上を費やしてクロスプラットフォームで動作するJavaのライブラリを探していましたが、ちょうどMacOSX10.3がアップル社からリリースされ、このOSを利用すれば早期に、ロバストでモダンなDICOMビューワが作れると考えたそうです。
1つのDICOMビューワが世界をつなぐ
小さなプロジェクトが若い放射線科医から始められ、OsiriXをLGPLライセンスで開発するためにSource Forgeにアカウントが作られたのは2004年4月のことでした。最初のバージョンは6ヶ月もかからずに開発されました。(このバージョンは、ポストプロセッシング機能や計測ツールなどのないシンプルなDICOM画像表示と基本的なデータベースがあるだけでした。)
その後、Joris Heuberger氏がUCLAに6ヶ月間のフェローシップで参加し、このときにOsiriXのフライスルーアルゴリズムやサーフェスレンダリング、ボリュームレンダリングのプラグイン機能を開発しました。
その後、2005年にAppleのデザインアワードを受賞するなど、躍進が続き、その後、2009年、ついにGeneva University HospitalにオフィシャルなDICOMビューワとして導入されました。
その後、献身的なアメリカの医師が加わり、DICOM NetworkプロトコルやDCMTKをObjective-Cで利用するDCM Frameworkが追加されました。
そして、2009年3月にこの3人が非営利団体のOsiriX Foundationを設立しました。
このファンデーションは学生がオープンソースソフトウェアを開発するときに資金提供を行っています。また、OsiriXをベースにしたポストプロセッシングやデジタルイメージングの表彰などを行っています。
2010年2月、Rosset氏とHeuberger氏はPixmeo社を設立し、FDAの承認などの活動を展開しています。
今や、OsiriXのユーザーは4万人以上と言われています。
OsiriXはこの圧倒的なユーザーからのフィードバックを受けて進化しています。その中には大学や臨床医も含まれています。
この進化に敵うDICOMビューワは数少ないように思います。
システム要件(2015/8時点)
最小のシステム要件は以下の通りです。- OS:MacOSX10.7以上
- CPU:Intel base
- Memory:4GB
- モニター解像度:1280×1024
推奨のシステム要件は次の通りです。
- モデル:MacPro
- OS:10.9以上
- CPU:3.5GHz Quad-core Intel Corei7以上
- Memory:16GB(DDR3)以上
- HDD:7200 rpm Serial ATA or SSD
- モニター解像度:最小で2048×1152
ここまで読み進めていただいた方にはすでにお分かりかと思いますが、OsiriXはMacでしか動かすことができません。
今のところ、Mac OSXは、Mac以外の機器で起動することをライセンス上許可されていないので、仮想OSなどでも、Windowsでは起動できません。
みなさん、思い切ってMacでどうでしょうか笑。
大企業のパッケージPCもいいかもしれませんが、ハードウェアは7年間使うようなら、知らない間に決まっているチープかもしれないハードより、そこまでこだわって構築した"使える"ハードウェアを使いたいですよね。
今のシステムと比較する価値はあるかもしれませんよ。
読んでいただきありがとうございました!
次回はインストールについてご紹介予定です!
ビジョナリーイメージングサービスは、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、GRAPHYを開発しています。オープンソースです。
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2015/8/23 VISブログ担当
参考URL;
- https://ja.wikipedia.org/wiki/OsiriX
- http://www.osirix-viewer.com/AboutOsiriX.html
- OsiriX Manual