2016年5月26日木曜日

第16回 OsiriXの標準レポート機能を使いこなす!

前回は構造化レポートその1として、OsiriXを使った画像診断レポートの作成方法や構造化レポートの例をご紹介いたしました。

今回は、もう少しOsiriXの標準のレポート機能を使いこなすための工夫をご紹介させていただきます。

おさらい


OsiriXのレポート機能をご存知でない方は、第15回の記事(https://vis-osirixhowto.blogspot.jp/2016/05/15osirix1.html)をご参照ください。

いろいろなテンプレート


北米放射線医学会のホームページから、いろいろな画像診断医が考案したレポートのテンプレートが公開されています。
興味のある領域を選択して、ご参考にされてください。


テンプレートを自作しよう!


それでは、上記のRSNAのページも参考にしながら、自分だけのレポートテンプレートを作成してみましょう。

執筆時点では、PagesのテンプレートはPagesバージョン9に依存しているようですので、今回はMicrosoft Wordで試していきます。Wordのいろいろな機能を使ってレポートを構成してみたいと思います。

まず、OsiriX Data>WORD TEMPLATEで、OsiriX Basic Report.docをコピーあるいは任意のワードドキュメントデータをこのフォルダに作成します。ファイル名はなんでも構いません。

編集するテンプレートデータをダブルクリックして開けばすぐに編集を始めることができますが、まずは焦らず、OsiriX Basic Report.docの内容を確認していくことから始めていきます。

OsiriXに仕込まれているAppleScriptを使って属性情報入力を自動化しよう!


OsiriX Basic Reportを開いてみると、«»で囲まれている文字があります。
実は、これは評価対象のスタディから自動的にDICOMタグ情報を取得するための工夫がされているマークです。この工夫というのは、Officeのプレースホルダ機能です。

(グレーになっている文字列がDICOMタグから取得される)

OsiriXのレポート機能はAppleScriptが設定されており、レポートテンプレートの文章からプレースホルダーの«»の要素を検索して、DICOMタグの情報をコピーしてくれる仕掛けが施されています。

手入力では入力ミスなどが起こってしまうので、活用したい機能です。

このDICOMタグの指定の方法は、スタディレベルの情報を固有名詞の文字列で指定する方法と、直接DICOMタグを指定する方法があります。
  • Studyレベル Database fields: 次の文字列をプレースホルダで指定します。
  • accessionNumber, comment, comment2, comment3, comment4, date, dateAdded, dateOfBirth, dateOpened, dictateURL, institutionName, modality, name, numberOfImages, patientID, patientSex, patientUID, performingPhysician, referringPhysician, reportURL, stateText, studyInstanceUID, studyName
  • DICOM Field: Pages'09文書のみ、次の2つの書き方で指定できます。(要確認、Wordや最新のPagesでもできるやり方があるかもしれません)
  • «DICOM_FIELD:0x0010,0x0010»
  • «DICOM_FIELD:PatientsName»

プレースホルダーを設定するには、ドキュメントの種類によって操作が異なります。
Wordの場合は、メニューの挿入>フィールドを選択して、MergeFieldを選択して、文字列を指定します。例えば、referringPhysicianを取得したい場合は、次のように設定します。

(Wordでプレースホルダを設定する様子)


こうすることで、AppleScriptにこの文字列が検索されるようになり、自動で置き換わるようになります。

Pagesの場合は、«referringPhysician»と入力したのち、この記号を含む文字を選択状態にして、フォーマット>詳細>プレースホルダテキストととして定義を設定します。このとき、改行記号を含めないように注意してください。

ちゃんとプレースホルダが設定されれば文字の背景色が変わるので、設定の有無を確認できます。

プレースホルダに指定しておかなければ、認識されず置換が行われませんので注意してください。

いろいろやってみよう!


それでは、おおまかにOsiriXのレポートテンプレートの作り方がわかってきたところで、いろいろなテンプレート素材を検討していきましょう。

◯いろんなDICOMタグの属性情報をテーブル表示で自動取得する

スタディレベルの一通りのタグを取得してみました。空欄になっているセルは、タグがないか、タグに値がないものです。検査の基本情報を表にできるのはいいですね。

(Wordテンプレート)
(サンプルデータを選択してレポートを作成、自動でタグ情報を取得)

◯Key imageを挿入するためのイメージプレースホルダーを設定する
※Pages'09ではできませんのでWordでお試しください。

画像を挿入して、イメージのプレースホルダ設定をOnにしておけば、その位置にキー画像を貼り付けられます。


◯定型文書を入力するためのドロップダウンリストを活用する

Wordの開発タブを有効にして、フォームコントロールからコンボボックスを設定し、文章を編集し終わったら最後に「フォームを保護」します。

こうしておくと、定型文をコンボボックスから選択するだけで入力が完了しますね。

(リストには自由な文章を入れられます)

ただし、フォームを保護すると、各種のプレースホルダが使えなくなるので悩ましいです。

その他、PagesやWordは、動画をはめ込む、音声をはめ込む、メールで送信する、などなど、ここでは紹介しきれないほどの多彩な機能を持っています。

この辺りは、時間があるときにまた更新します!

最後に


OsiriXのレポートテンプレートは簡単に作成することができます。

疾患ごとにテンプレートを変えたり、レポートの種類(1次読影、二次読影など)で分けたり、ドーズレポートを作成したりと、いろいろな工夫ができると思います。

DICOMタグを文章中に自動取得することもできますし(Pages'09がおすすめ)、ドロップダウンリストを活用したい人はWordを使うことができます。プレースホルダーを活用すれば、入力手順を誘導することも工夫次第でできそうですね。

また、今回はご紹介しておりませんが、WebでHTMLベースのレポーティングも技術的には可能です。

今回は以上です!

Visioanry Imaging Services, Inc.は、OsiriX用の独自のレポートテンプレートの作成についてご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。
よろしくお願いいたします!


2016年5月25日水曜日

第15回 OsiriXの構造化レポート!(その1)

今回は、画像から得られるエビデンスを記録する非常に重要なドキュメントである構造化レポートについて、OsiriXを用いた操作方法や操作上の工夫を中心にご紹介いたします。

ご参考;
OsiriXを用いたレポーティングでは、Macの機能を使って簡単に音声入力が可能なことをご存知でしょうか。もしご存知でなかった方は、一度お試しください。
Macでテキストを音声入力する

画像診断レポート


このレポートは、医師(一般的に放射線科の画像診断医)が作成する画像診断報告書です。
根拠に基づく医療という言葉をご存知の方は多いと思いますが、この画像診断報告書は、主治医と患者が最適な治療を行うために、確かな画像から得られるたくさんの情報を正しく理解して治療に役立てるための報告書です。画像診断医は、医師の中で画像の専門家として活躍されています。
その画像診断医を陰ながら支えている放射線技師、看護師、医療事務などもいます。

画像検査の結果、最終的に患者さんの手に届くのはこの画像診断報告書なのですが、最近ではその作成の過程で作られるレポートも研究が進んでいます。例えば、放射線技師が行うチェック診断や一次読影があります。

(一般的な画像検査は主に放射線技師の役割になるため、実際に検査をした放射線技師にしか気付けない画像上の変化や行った手技などを画像診断医や主治医と共有するために、このようなチェック診断や一次読影というものが必要とされつつあります。)

画像診断レポートは、医療の中で重要な役割を果たしているため、そのニーズも高く、レポートの質を高めるための研究も行われています。

例えば、自然言語処理(Natural Language Processing)を用いた入力文章の入力補助や、統制用語や疾患ごとの画像診断知識のモデル化などがあります。

このようなレポートの質を高めるための研究成果を実装する技術として近年注目され始めているのが構造化レポートです。

構造化レポート


構造化レポート(正式には、構造化画像診断報告書:Structured radiology report)は、一般的に、ベストプラクティスなレポーティングテンプレートを開発するためのフレームワークを提供するものとして認識されています。

誤解を恐れずに表現すれば、料理のレシピを連想してもらうといいと思います。
料理のレシピはその料理の最終成果物と作る手順・材料・分量がわかりやすくまとめられています。そして、筆者の考察やワンポイントアドバイスなどもあります。

料理のレシピと同様、画像診断のための構造化レポートも実施された画像検査に対する画像診断の目的と画像の特徴をわかりやすくまとめるためのテンプレートになっています。

なぜ、テンプレートになっているとメリットがあるのでしょうか?

筆者が思い当たるものとしては、知識支援(意思決定支援を目指したもの)とデータベース化などがあります。

このうち、知識支援のメリットについて補足しますと、

人間の脳には限界や差があります。

例えば、この瞬間に脳をフル活用して第六感を目覚めさせなさいとお願いされても難しいでしょうし、3秒間見せられた写真をデッサンでなるべく客観的に再現しなさいといわれても、そのデッサンの結果は人それぞれです。疲労や体調による集中力の波、記憶、書き手が学んできた学術体系の違いなどにもよると思います。完璧に再現できたと評価されるものとそうでない者が現れてしまうでしょう。

これらの結果のバラつきを小さく留め、全員が尤もらしい解を出すためには、尤もらしい解に近づきやすくなる知識が必要です。

十分に解明された特定の疾患を対象とした画像診断レポートがあらかじめ構造化(テンプレート化)されていたら、記載されるキー情報の的も絞られ、書き手のスキルに依存する属人化を小さく留めることができると思います。

それでは、実際にどのようにレポートが作られるか、その例としてOsiriXを使ってそのフローを体験してみたいと思います。

OsiriXの標準レポーティング機能


OsiriXは標準のレポーティングに以下の一般的なドキュメントエディタを利用しています。
  • Pages
  • Microsoft Office word
  • Libre Office
  • リッチテキスト(.rtf)
デフォルトではPagesの設定になっています。
変更するときは、OsiriXの設定画面から設定を切り替えます。

(画面下のReportで切り替え)

以下、Pagesの例を示していきます。

1.作成

レポートを作成するには、レポートを作成したい患者のスタディをデータテーブルで選択した状態で、「Report」メニューアイコンを選択します。
すると、あらかじめ設定されたPagesのテンプレートドキュメントが立ち上がります。


立ち上がったPagesで所見や診断を記載して、必要に応じてキー画像もPNG形式でコピー&ペーストできます。
キー画像のコピペは、2Dビューワに表示されている画像をcommand+Cでコピーし、Pages上でcommand+Vでペーストします。

(レポート編集画面)

Pagesの基本的な機能を利用できるので、デザインの変更も可能です。

レポートを編集後、Pagesを終了すれば、自動的にスタディレベルで.pagesデータが保存されます。
再度編集したい場合は、もう一度同じ患者のスタディを選択した状態で、レポート機能を起動すれば、前回保存したレポートを編集できます。

(Brainix(スタディレベル)にレポートが保存されていることがわかる)

もし、もう編集をしない(できないようにしたい)ということであれば、File>レポートからPagesファイルをPDFに変換して保存しておくこともできます。

レポートの保管場所


上記のように、OsiriXのデータベーステーブル上でレポートの保管状態を確認できますが、実際のデータはDICOMデータと同様、OsiriX Dataに保存されています。

(先ほどのレポートがOsiriX Data>REPORTSに保存されている)

このOsiriX Data内に、PAGES TEMPLATESというフォルダも含まれていることがわかります。このフォルダの中に、「OsiriX Basic Report.pages」があります。このドキュメントが、レポート機能を起動したときに初期設定で呼び出されるようになっています。

もし、レポートのテンプレートを自分流にアレンジしたい!という方は、このテンプレートを編集して、デフォルトで自分のテンプレートを起動できるようにしましょう。
具体的な詳細説明は次回詳述いたします!

以上が一般的なレポーティングの機能です。
次に、構造化レポートのケースを見ていきます。

OsiriXの構造化レポート


OsiriXはバージョン7から構造化テンプレートプラグイン機能が拡張されました。
2016/5時点でデフォルトで使える構造化レポートは次のものがあります。


例として、TAVIレポートを見ていきます。


まず、CTアンギオ画像を2Dビューワで開きます。
それから、プラグインメニューからTAVIを選択します。


あとは、表示されたレポートにステップバイステップで入力をしていくと、最終的にキー画像と計測値がまとまったレポートが完成します。

(必要な特徴をまとめたレポートが作成されたことがわかる)

TAVIレポートについてのより具体的な内容は、こちらをご参照ください。
http://www.osirix-viewer.com/osirix_plugins/TAVIReport/html/manual.html

Pagesで作成するレポートのように、一般的なレポーティングではほとんどの文章をフリーテキストで入力しなければならなかったのに対して、構造化レポートでは、必要な評価項目や記入内容が構造化された上で、フリーテキストで考察できるように設計されていることがわかります。

このように構造化されていることで、フリーテキストで報告される内容よりも、レポートの記載内容が統一されるため、情報の共有にはメリットがあると思われます。

また、この構造化レポートはPACSの中でDICOMとして取り扱うことができます。

(補足)DICOMと構造化レポート


構造化レポートはDICOMで取り扱われます。
DICOMって?と思った方はこちらをどうぞ。


ここでは詳しい話は割愛しますが、DICOM構造化レポート(DICOM-SR)のリファレンスはたくさんあります。
例えば、D.Clunie先生が公開されている資料も参考になります。

最後に


今回はOsiriXのレポーティング機能を中心として、構造化レポートについてご紹介させていただきました。

構造化レポートのメリットは、知識支援やデータベース化などが挙げられます。
電子カルテに記載される診察記録やアナムネのように、構造化レポートもPACSの中で意思決定支援を見据えて着々と進化しています。

構造化レポートは研究分野としてみるとまだ歴史の浅い試みではありますが、フリーテキストよりもデータの蓄積のメリットはあるため、適応が拡大されることを個人的には願っています。

そして、医師だけではなく、医師以外のメディカルスタッフにも理解されやすい情報伝達ツールになることを期待しています。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。
よろしくお願いいたします!

2016年5月18日水曜日

第14回 OsiriXBridge(OsiriX MeVisLab bridge)の紹介!

今回は、OsiriXのプラグインの一つであるOsiriXBridgeを紹介します。

OsiriXは医用画像処理アプリケーションですが、その機能の一部であるサーバー機能を使って、外部の画像処理アプリケーションと併用されることもあります。OsiriXを便利な画像ファイルマネージャとして使えると、OsiriX以外の画像処理ワークステーションやDICOMビューワとシームレスにデータのやり取りができます。

今回は、OsiriXをファイルマネージャとして使った例として、MeVisLabのOsiriXプラグインであるOsiriXBridgeをご紹介いたします。

MeVisLab?


MeVisLabは、医用画像処理と可視化のための迅速なプロトタイピングおよび開発プラットフォームです。執筆時点では、ドイツのMeVis Medical Solutions AGが開発しています。

詳しくはこちらをご参照ください。(http://www.mevislab.de/
ダウンロードはこちらから。(http://www.mevislab.de/download/

その画像処理ライブラリは次の要件を満たします:

  • 6次元画像処理(x, y, z, color, time, user-defined)
  • 急速に発展する研究領域のための完全なモジュール式のC ++インターフェイスで、既存のものを改善/変更したり、新しいアルゴリズムを開発する簡単な方法を提供
  • アルゴリズムからアルゴリズムを組み合わせるパイプラインやネットワーク簡単な方法を提供
  • DICOMなど、標準インタフェースに対応する臨床環境への迅速かつ容易な統合
  • 画像処理における、ページベース、デマンドドリブンアプローチのための臨床ルーチンを考慮した公正なパフォーマンス
主な機能は以下の通りです。

  • Basic image processing algorithms and advanced medical imaging modules
  • Flexible and dynamic 2D/3D visualization and interaction tools
  • Graphical programming of complex, hierarchical module networks
  • High performance for large datasets
  • Modular, extensible C++ image processing library
  • Easy-to-use parallelization options using multi-threading or background processes
  • Object-oriented GUI design and scripting
  • Powerful scripting functionality using Python and JavaScript
  • Integrated text editor with advanced auto-completion and debugger
  • DICOM support and PACS integration
  • Built-in profiler and unit test framework
  • Generic integration of the Insight Toolkit (ITK) and the Visualization Toolkit (VTK)
  • Cross-platform support for 64-bit Windows, Linux, and MacOS X


一般的な画像処理アルゴリズムと可視化ツールのほか、MeVisLabは、セグメンテーション、レジストレーション、容積測定および定量的形態解析および機能解析のための高度な医療イメージングモジュールが含まれています。

これまで、MeVisLabからニューロイメージング、動態解析、手術計画および血管解析のためのソフトウェアアシスタントを含め、多くの臨床プロトタイプが開発されてきました。

開発に出資している会社には、大手の製薬企業や医療機器ベンダーもいます。実際に医療現場で使われている高機能な医用画像処理ワークステーションの機能もMeVisLabで開発されたものを含んでいます。例えば、Syngoなどもその一例です。

MeVisLabは、よく知られているサードパーティのライブラリやテクノロジーを使用しており、最も重要なものは、アプリケーションフレームワークのQt、可視化・相互作用ツールキットOpen Inventor、スクリプト言語のPythonやNumPyおよびグラフィックス標準のOpenGLです。加えて、インサイトツールキット(ITK)と可視化ツールキット(VTK)に基づくモジュールも用意されています。

MeVisLabの医用画像処理例


ここから、MeVisLabでどんなことができるのか、MeVisLabのScreenshotsページのキャプチャ画像を紹介させていただきます。

(血流の流体解析)

心臓の冠動脈解析

冠動脈のOCT画像解析

心臓と冠動脈の3D画像表示

この他にも、頭部の術中支援機能の開発や、トラクトグラフィーの3D画像など、いろいろな機能が考案されています。

これらの機能は、MeVisLabを使えばすぐに誰にでも簡単に作れる!といいたいところですが、MeVisLabの使い方、プログラムコーディングスキルや数学や画像処理に関する知識がなければ、これらのようなプログラムは開発できません。

しかし、勉強さえすれば、こういったアプリケーションが開発できます。時間をかけて徐々にMeVisLabを使えるようになれば、本当に貴重な人材になれるかもしれません。

OsiriXBridge


前置きが長くなってしまいましたが、ここまでで、MeVisLabに興味を持たれた方は多いと思います。そして、このブログを読んでいただいている方は、OsiriXユーザが多いと思います。

OsiriXには、OsiriXBridgeというOsiriXプラグインが用意されています。

正確には、OsiriXをMeVisLabの画像サーバーとして利用できるようにします。

このOsiriXBridgeは、MeVisLabが臨床ユーザーの多いOsiriXと共存できるようにする素晴らしいプラグインです。

以降、その使い方を紹介していきます。

もし、以降の操作をお試しいただく場合は、OsiriXとMeVisLab(2013年のバージョン)のダウンロードとインストールをお願いします。(2016年のバージョンではOsiriXBridgeがデフォルトからなくなっている?ように見えます。私の目で確認しただけなので、間違っているかもしれません)

使ってみよう!

OsiriXBridgeをインストール


OsiriXBridgeのインストールは、MeVisLabを使いながら行います。

同一のPCで、以下の準備をしておきます。

  1. MeVisLab(2013)を起動する。
  2. OsiriX(バージョン3.4以上)を起動する

ここまで準備できたら、次は、MeVisLabにネットワークを作ってみます。
ネットワークとは、MeVisLab上で画像処理を行うためのアルゴリズムを図に示したものです。

このネットワークを作成するために、まず、MeVisLabのメニューのModuleから、File>DICOM>OsiriXBridgeを選択します。



すると、自動的にキャンバス上(ワークスペース上)にOsiriXBridgeというノードが表示されます。

ここから、2つのプラグインインストール方法のいずれかを選択できます。

注意:GRAPHY/OsiriX-KANAGAWAユーザの方は、2016/5/17時点では、インストール方法2の手順でインストールしてください。

インストール方法1)

このパネル上のOsiriXBridgeノードをダブルクリックして、Panel OsiriXBridgeウィンドウを表示します。このパネルの一番左のタブ"OsiriX Setup"で、"Install OsiriX PlugIn"ボタンを押してください。


インストール方法2)

同じ画面右側の"Show OsiriX PlugIn"ボタンを押して、MeVisLabのパッケージの内容に含まれているOsiriXBridge.osirixpluginファイルをコピーし、起動しているOsiriX.appのcontentsフォルダ(ctrl+左クリックで、パッケージの内容を表示で開く)に含まれているpluginフォルダにペーストしてください。その後、OsiriXを再起動してください。

OsiriX-KANAGAWAのユーザの方へ


  • インストール方法2の手順のOsiriX.appをOsiriX-KANAGAWA.appに読み替えてください。
  • Info.plistファイルを以下のように編集してください。編集しない場合、バージョンが読み取られず、OsiriXBridgeプラグインを起動できません。

(OsiriX-KANAGAWA.appのパッケージの内容を表示してInfo.plistをXcodeで開く)

(Information Property Listのプラスボタンを押し、
Bundle versionを追加)
(Bundle versionを追加)
(Bundle versionを4649以上の数字に変更してください)

これで、インストールは完了です。
OsiriXのメニューバーカスタマイズ(メニューバー上で右クリックしてカスタマイズメニュー)から、機能一覧シートを表示し、その中にあるOsiriXBridgeをメニューバーにドラッグ&ドロップしてください。

(シート(右下)にOsiriXBridgeが現れるので、メニューバーに表示させます)

(これです。)

ここまでの操作で、OsiriXとMeVisLabはプラグインを通して画像データをやり取りできるようになりました。ここから、少しだけ使い方を見ていきましょう。

ターゲットネームの設定


OsiriX Setupパネルに、"Alternative target name"というテキストフィールドがあります。これは、OsiriXからDICOMデータをMeVisLabに渡す(ブリッジする)際の指定先になります。デフォルト(ブランクの状態)ではOsiriXBridgeという名前になっています。

OsiriXからデータをMeVisLabにブリッジしたいときに、複数の画像シリーズをいくつかのOsiriXBridgeノードなどで取り扱いたい場合に用います。

例えば、このテキストフィールドに、「MoveToMeVisLab」とすれば、OsiriXのOsiriXBridgeアイコンをクリックすると、ポップアップで「MoveToMeVisLab」を選択できるようになります。ノードが複数ある場合は、このリストが増えます。



さて、次は、いよいよ画像データを使います。

やってみよう!


今回は、一番簡単な方法として、OsiriXBridgeノードに用意されているExampleネットワークを使ってみます。

MeVisLabワークスペース上のOsiriXBridgeノードを右クリックして、そのリストからShow Example Networkを選択してください。


そうすると、次のようなワークスペースの状態になります。


自動で表示されるReadMeメモにも表記がありますが、このネットワークを使うと、OsiriXから読み込まれたデータをこのネットワークの設定に沿って処理し、再度、自動的にOsiriXデータベースに戻す処理が走ります。

この例では、まず、読み込まれたデータを平均化処理し、さらに膨張処理をかけ、膨張処理あり画像となし画像(平均化処理画像)とを差分して、入力されたデータと同じマトリクスサイズで出力するというアルゴリズムが起動します。

手順は次のようになります。

  1. OsiriXのデータベーステーブルで、任意のシリーズを選択(今回は、OsiriXサンプルデータのBrainixのFLAIRで試しています。)
  2. OsiriX上のOsiriXBridgeプラグインを起動し、設定したターゲットネーム(今回はMoveToMeVisLab)を選択
  3. OsiriXデータベースが更新され、帰ってきた処理済みデータを確認

(処理前のFLAIR)
(処理後のエッジ強調画像)

注意:データベースで選択されたデータがしっかりとしたDICOMデータでなければ、読み込みに失敗することがあります。(例えば、患者名がブランクなど。結構シビアです。)

ここまでできた方、お疲れ様でした!

"Advanced Conversion Setup"パネル(補足)


処理のログはMeVisLabのPanel OsiriXBridgeウィンドウの"Advanced Conversion Setup"パネルで確認できます。

もし、エラーがあれば、OsiriXデータベースは更新されず、何も起きません。そのときは、このログを参照してください。

(処理が成功したログ)

このパネルでは、DICOMファイルのインポートのオプションも指定できます。このパネル上のHelpボタンからコマンドが参照可能です。

(DICOM import コマンド「Help」ウィンドウ)

プラグインのソースコード


このプラグインのソースコードはダウンロード可能なSDKフォルダに同梱され、公開されています。秀逸なプラグインで、コードもしっかり書かれています。

以下の場所に格納されています。

MeVisLabSDK_x.x/MeVisLab.app/Contents/Packages/FMEwork/ReleaseMeVis/Projects/MLOsiriXBridge/Sources 

このプラグインソースファイルの場所はバージョンの変更に伴い変更される可能性がありますが、/FMEwork/ReleaseMeVis/のあたりにあると思われます。

GitHubでも公開されています。
https://github.com/MeVisLab/communitymodules/tree/master/Community/General/Projects/OsiriXMeVisLabBridge

終わりに


以上、今回はOsiriXBridgeプラグインをご紹介いたしました。
MeVisLabだけだとちょっと手間、OsiriXだけだとちょっと不満という方にぴったりな画像解析環境ではないでしょうか。どんどん使っていきたいですね。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床試験や臨床研究サポートサービスを展開しています。
医療機関や教育機関向けのOsiriXサポートも行っております。
よろしくお願いいたします!