2016年1月30日土曜日

第5回 OsiriXの画像表示機能!

今回は、OsiriXの便利な画像表示機能をご紹介いたします!

画像の表示は、医用画像ビューワの一番ベーシックな機能です。しかし、単に表示だけできるという単純なものではなく、複数の患者データの画像を表示したり、複数シリーズを表示したり、画面のレイアウトの変更や、ショートカットキーなど、細やかな開発者の気配りがなされています。

ここでは、このような機能について、使い方も含めてご紹介していきます。

ローカルデータベースウィンドウ


まずは、オザイリクスの初期起動画面となるローカルデータベースウィンドウから見ていきます。オザイリクスの各種操作はすべてこの画面を起点にして行っていきます。

画像操作については、スタディリスト上に表示されている画像データを選択し、スタディに含まれているシリーズリストと、選択シリーズの画像のプレビューを行うことができます。

各種、詳細設定については、メニューバーの"OsiriX"から"環境設定"を選択して設定できます。

ローカルデータベースウィンドウ

ダブルクリックで起動する2Dビューワ


それでは、早速、画像を表示してみます。画像はDICOM画像です。まずは、スタディリストか、シリーズリストから、任意の画像を選択(ダブルクリックあるいは選択した状態でツールバーの2Dビューワを起動)して、2Dで横断像を表示してみます。

2Dビューワ

2Dビューワでは、画面左側のシリーズリストから表示する画像を切り替えることができます。同様に、メニューバーのシリーズドロップダウンリストからも切り替えることができます。

また、メニューバーのウィンドウを複数のウィンドウにすれば、複数シリーズが同時に表示できます。

ウィンドウを3ウィンドウに変更

このように表示することで、同じ位置を検査している場合には、ある程度の位置を同期しながら観察することができます。同期というのは、異なる時間に撮影された同じ検査範囲の画像、あるいは、元画像は同じで画像処理がそれぞれ異なる画像などを、複数のウィンドウで表示して、このすべてのウィンドウ(この例では3ウィンドウ)に表示されている画像が、同時にページングされる(スライス送りされる)ことをいいます。この同期の位置の調整や同期のOn/Offはツールバーの2Dビューワの機能の中に含まれています。

また、PET-CT、PET-MRIなど、最近では異なる撮影(撮像)原理で取得された画像を重ね合わせて表示することがあります。これは、PET装置から取得される画像の精度を高めるためや、解剖学的位置がはっきりわかる画像とぼやけて見えるPET画像とを重ね合わせることで、位置関係の観察をしやすくするために利用されます。

このような表示も、オザイリクスは標準搭載です。

(3ウィンドウでPET-CT3シリーズを表示)

ここで、一番左側の画像が重ね合わせ画像(フュージョン画像)です。
このフュージョンもオザイリクスは自動で行ってくれます。また、重ね合わせの組み合わせは、画面左のシリーズリストの色で判別できます。赤はベースの画像、緑が重ねられている画像です。この組み合わせはデフォルトでは自動で行われますが、組み合わせを任意に変更することもできます。ひとつは、データベースウィンドウに戻ってから、ベースとなる画像を選択した後に、重ねたい画像を"command"+左クリックで選択して、2Dビューワを起動します。

(重ね合わせ画像:緑のシリーズが変更された)

もうひとつは、ウィンドウの上部のウィンドウ名が表示されている部分を左クリックして、ベースとなるCTやMRI画像のウィンドウにドラッグします。

(PET画像ウィンドウ上部をドラッグして、CT画像ウィンドウにドロップ)

すると、ポップアップが現れるので、イメージフュージョンをそのまま選択すれば、フュージョンが実行されます。もう一工夫、位置あわせの調整なども可能ですが、これはまたの機会にします。

また、重ね合わせている画像が煩わしくなった時や、少し透過度を変えて見たいときなどは、透過度を変更できます。これは、フュージョン画像を表示しているウィンドウを選択した状態で、(command+Shift+F)または、メニューバーのスケールを調整します。ただし、デフォルトでは、スケールが表示されないので、ツールバーのフォーマットから、ツールバーをカスタマイズから、表示される設定画面から、メニュー画面へ追加するようにします。この方法で、ツールバーは好きなようにカスタマイズできます。

("ツールバーをカスタマイズ"を起動した画面)

複数画像を位置ウィンドウの中に指定の行列でタイル表示することもできます。これは、2Dビューワのタイル表示機能を用います。

(5×5タイル表示)

画像だけでなく、画像に付帯する患者情報の確認も可能です。これは、基本情報だけであれば、メニューバーに設定されたラジオボタンや、詳細を見る場合には、メタデータから閲覧することができます。

(メタデータの表示)

また、ウィンドウ内でShitを押すと、拡大レンズ(4倍ズーム)や、2D曲面MPR・Orthogonal Reslice(直行面MPR)、さまざまな隠れショートカットキー(ホットキー)、例えば、2Dビューワからローカルデータベースウィンドウへ戻る(Command+D)など、書ききれない機能がたくさんあります。これらの機能については、また追い追い触れていきますが、ほとんどの機能は、ツールバーの2Dビューワのリストや、2Dビューワウィンドウのメニューバーに集約されているので、試して損はしないので、いろいろとやってみるとおもしろいと思います。

今回はよく使う2D画像の表示方法について述べました。
自分の利用用途に応じて操作方法を習得すると、さくさくと業務が進むかもしれません。

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2016年1月1日金曜日

第4回 OsiriXのパワフルな機能の紹介

今回はOsiriXのパワフルな機能をざっくりとご紹介いたします。
特徴や活用用途などについて簡単に解説いたします。

OsiriXの機能一覧


OsiriXは数ヶ月に一回マイナーチェンジ、年に一回程度、大幅なバージョンアップがされています。2016年1月時点で、OsiriXの最新バージョンは7.xです。
このOsiriXの主な機能は以下のようなものがあります。(詳細な機能や搭載技術はこれに限りません)


  • 2Dビューワ
  • 3Dビューワ
  • 4Dビューワ
  • マイクロPACS
  • HIS/RIS連携


今回はこれらの機能について概要について触れたいと思います!

2Dビューワ


OsiriXは医療施設で使うことを想定した医用画像表示ソフト(DICOMビューワ)としての機能をしっかりと備えています。PET画像でよく行われるフュージョンも可能です。

(起動画面)

(2Dビューワ表示画面)

主な計測機能には距離、角度、面積、矩形および楕円形の面積、関心領域(ROI)を束ねた体積計測などがあります。

(各種表示設定機能)

(計測機能)

(WW/WLコントラストプリセット)

(カラールックアップテーブル)

画像の操作では、WW/WLのプリセットからの選択やマウスドラッグによる任意コントラスト調整、画像回転、拡大縮小、拡大レンズ機能、画像パンニング(移動)、過去画像との比較表示、複数シリーズ同時表示(表示タイル選択分割)、カラールックアップテーブルの設定などが行えます。

3Dビューワ


3Dビューワとして利用する場合には、CTやMRIなどの画像からボリュームレンダリングを行ったり、最大値投影法(3D MIP)を使った表示をしたり、表面だけをレンダリングするサーフェスレンダリング、ボリュームレンダリングの視点を内部に設定したバーチャル3D内視鏡機能(CTコロノグラフィーやブロンコグラフィー)などが利用できます。
ボリュームレンダリングだけでなく、MPR機能も豊富で、一般的な多断面表示に加えて、曲面MPRも作成可能です。

(ボリュームレンダリング)

(フライスルー:CTコロノグラフィー)

(MPR)

カーブMPRはこちらを。
(http://www.osirix-viewer.com/OsiriX-GUI/Aorta%20Segmentation.m4v)

4Dビューワ


OsiriXでは、上述のような3D表示機能に、時間軸も加味した画像表示機能が備わっています。例えば、時間をずらして撮像したCTやMRIたアンギオ画像などを経時的に観察できるため、臓器の機能や動きなど、時間の経過による変化を見る用途に向いています。

4Dプレーヤモードはこちら(動画がダウンロードできます。)
※複数シリーズを同時に表示して観察できるということがわかります。

マイクロPACS


PACSとは、画像保存通信システムのことです。
OsiriXはそのままのデフォルト設定で、比較的小規模のPACSとして機能します。実際にクリニックなどではOsiriXそのままで運用されているケースもあるようです。
数百〜千床以上ある病院では、DICOMサーバと連携させて本格的な大規模PACS構築も可能です。DICOMプリントとレポート作成機能もあります。

OsiriXはDICOM3.0に完全準拠しており、この規格で運用されている画像、例えば、レントゲン画像(CR/DR)、アンギオなどの透視画像、CT、MRI、DEXA、PET、SPECT、超音波、内視鏡、眼底カメラなどのさまざまな画像診断機器から作成される医用画像をDICOM暗号化通信を利用して共有したり、ビューワ機能で表示したりすることができます。

OsiriXのローカルデータベースにはSQLiteというデータベースエンジンが採用されています。ハードウェアのスペックにも依存しますが、約10,000スタディを越えると動作が重くなるという報告もあります。

もちろん、他院から持ち込まれた医用画像の取り込みや、その逆のパターンで、他院に紹介をするときの画像やレポートの出力も可能です。

(クライアント設定:AWS EC2との接続)

(DICOMリスナー設定:他のアクターと接続するための設定)

HIS/RIS連携


OsiriXはHIS/RISのアプリケーションではありません。しかし、このようなアプリケーションが画像診断関連のネットワークシステムに組み込まれている場合は、ネットワークアドレス管理のもとで、特定の情報をシェアすることができます。これを実現するのが、XML-RPC機能です(ユーザーコミュニティはこちら:http://xmlrpc.scripting.com/)。
OsiriXはこの機能を使って特定のDICOM情報をXMLにして、httpを使って通信します。

OsiriXにはすでにXML-RPCメッセージがいくつかビルトインでサポートされているので、あとはこれらをうまく使うことで、HL7のCDAドキュメントとうまく連携させることができます。

(XML-RPC設定)


プラグインによる機能追加


上記の機能のほか、OsiriXユーザや研究者が独自に開発したプログラムをOsiriXで利用可能にするプラグインも豊富に公開されています。
これらのプラグインはユーザーが開発することもできます。独自開発プラグインは開発者の著作で取り扱うこともできます。あるいは、Pixmeoに連絡して正規プラグインとして取り扱ってもらえるかどうか相談することができます。

現在もたくさんのプラグインが公開されており、これらをインストールするためには、起動画面のプラグインメニューからプラグインマネージャを起動して、任意のプラグインをインストールすることができます。

(プラグインマネージャ)
※任意のプラグインをインストールできる。

おわりに


いくつかの代表的な機能の概要を紹介しましたが、ここでは紹介できていない機能がたくさんあります。いくつかの機能の紹介はPixmeoが公開しています。(http://www.osirix-viewer.com/Snapshots.html)

実際には、これらの機能を実情に合わせて利用することになります。次稿より、各機能に特化して、具体的な操作も交えてご紹介をさせていただく予定です!

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