2016年4月5日火曜日

第7回 OsiriXの開発環境構築(OsiriX-OS 32-bitをビルドする)

前回は、OsiriXの機能をユーザが独自に拡張できるプラグインについて、概要をご紹介しました。実際にプラグインの開発に進む前に、OsiriX本体の構成も知っておく必要があります。

今回は、公開されているソースコードから自分だけのOsiriXをビルドする手順について、ご紹介いたします。


OsiriXをビルドするための準備

PC


OsiriXは、Apple社のMac製品で動作するソフトウェアです。



そのため、開発にもMac製品が必要です。例えば、iMac、Mac mini、Mac book Air/Proなど、ご自身のニーズに合わせて製品を揃えてみてください。
Mac miniでしたら、6万円程度で購入できます。中古も結構あります。


開発環境


OsiriXの開発環境は、"Xcode"です。Xcodeは、App storeで無料で公開されています。
最新版をダウンロードしておきましょう。


プログラミング言語


プログラミング言語は"Objective-C"です。
Objective-Cは、C言語を元に開発された親しみやすい言語になっています。C言語プログラムの経験がある方には容易に使い始めることができます。

Objective-Cを勉強するためのおすすめの書籍は、以下のものです。(特にAaron Hillegass氏の書籍がオススメです。日本語訳版もあります。)
  • Cocoa Programming for Mac OS X by Aaron Hillegass
  • Learning Cocoa with Objective-C by James Duncan Davidson & Apple,Inc.
  • Programming in Objective-C by Stephen Kochan

Mac OSX 10.8 SDK


OsiriX-OS(OsiriX-OpenSource)は、2016/4月現在、MacOSX10.8.sdkを利用しています。
このSDK(Software Development Kit)は、Mac OS Xに対応したソフトウェアを開発するために必要なプログラムや文書などをひとまとめにしたパッケージです。

MacOSX10.8.sdkは、こちらからダウンロードできます。

https://github.com/phracker/MacOSX-SDKs


(右側にDownload Zipがあります)


Download Zipで、すべてダウンロードしたのち、解凍して、その中のMacOSX10.8.sdkをXcode内の特定の場所にコピーします。


FinderからアプリケーションフォルダのXcode.appまで移動し、Xcode.appを右クリックあるいはcontrol+左クリックで選択し、「パッケージの内容を表示」を選択します。



Contentsというフォルダを参照することができるようになりますので、このContentsに含まれている"SDKs"というディレクトリまで移動し、この中に、MacOSX10.8.sdkをコピーします。

(Contents>Developer>Platforms>MacOSX platform>Developer>SDKs)
Xcodeのバージョンによって階層が変わることがあります。


Xcodeのバージョンが7.3.1以上の環境を利用する場合は、MacOSX platformと同じ階層にあるplistを開いて、minimum sdk versionの項目を10.8に変更してください。
ユーザー権限の関係で直接編集ができない場合は、一旦、デスクトップなどにコピーしてから編集した後、このファイルをドラッグドロップなどで上書きします。


OsiriXのソースコードを取得する


OsiriXのソースコードは、Pixmeo社によってGitHubで公開されています。
https://github.com/pixmeo/osirix

先のsdkのダウンロードと同様、Download Zipでソースコードをすべてダウンロードします。解凍して、書類フォルダなどに移動しておきましょう。


ビルドしてみよう!


上記の準備ができたら、早速ビルドしてみましょう。
ここまでで、PCのビギナーの方には難しいことだらけだと思いますが、深く考えず、難しいことは後にして、まずは試してみるのが次のステップにいくために効率がよいです。


Xcodeの起動


まずは、OsiriXのプロジェクトをXcodeで起動します。
このために、ソースコード内にある「OsiriX_Lion.xcodeproj」をダブルクリックして、Xcodeを起動してください。


XcodeでOsiriX_Lion.xcodeprojを起動

プロジェクトが立ち上がり、すぐにソースコードを編集できる状態になります。


OsiriXのソースコード構成を知ろう!


ここで、一杯コーヒーを飲みましょう。時間がない方は次の項目までスクロールしてください。

今からOsiriXを起動してみるのですが、どんなものでOsiriXが動いているのか、少しだけ知っておきましょう。

これを知っておくだけで、「OsiriXの操作ができるユーザ」から、その次のレベルの「OsiriXを理解して使うユーザ」になれます。


(OsiriXの構成ファイル)

・JPEG-LS(CharLS)
非圧縮のJPEG画像を取り扱うためのヘッダーファイル群です。

・KDU SDK
KakazuというJPEGライブラリです。32bitでコンパイルされています。(64bitは有償で、同梱されていません)

・Nitrogen
データベースを含む様々なユーティリティがコーディングされているコードセットです。

・DICOMPrint
DRYイメージャーなどにDICOMデータを出力するなどのDICOM画像出力のためのヘッダーファイルです。Aycan社の提供です。

・dcmtk 3.5.4
さまざまなDICOMのツールキットを含むdcmtkです。
OsiriXの独自拡張コードが含まれているため、単純に新しいものには載せ替えできません。

・Models
OsiriXデータベースとWebポータルデータベースのモデルファイル(コアデータ)です。

・DCM Framework
DICOM情報定義などを含むDICOMに関連したOsiriX独自のフレームワークです。dcmtkと併用されています。

・Papyrus
Papyrusは、ジュネーブ大学病院のChristian Girard氏らが開発しているDICOM3.0ツールキットです。
OsiriXのデフォルトはDCMTKですが、Papyrusも利用できるようになっています。

・Utilities
iLifeとの連携やDockとの連携などの機能になっています。

・Classes
OsiriXのソースコードが含まれています。OsiriXを学ぶときは、この中のコードを参照します。例えば、2D、3D、CPR(Curved planar reconstruction)、GUI(Graphical user interface)、DICOMネットワーク、ROI(Region of interest)、Webなどの機能に関するクラスが記述されているヘッダー/メソッドファイルがあります。

・Resources
主にグラフィカルな資源が含まれています。例えば、OsiriXの起動画面のxib(ジブ)ファイルなどもこのファイルにあります。その他、起動ボタンとして設定されているPNGやTIFF画像もここに保管されています。OsiriXのアイコンもここにあります。
これだけではなく、WebサービスのHTMLやweasisという簡易DICOMビューワもここに含まれています。

・Frameworks
より上位のクラス群がリンクされています。例えば、Mac OSXでアプリケーションを実行するためのcocoaやAppKitなどのフレームワークをはじめ、外部ライブラリのITK・VTKのヘッダーやライブラリなどがあります。

・Products
ここには、実行ファイル(コンパイルして.app拡張子になるもの)が含まれています。実際に作ったアプリケーションをリリース/デバッグすると、このファイルが作られます。

さて、コーヒーは飲み終わりましたか?


Build Settingの確認(肝です)


それでは、ソースコードの構成もだいたいわかってきたところで(まったくわからなくても問題ありません)、OsiriXをビルドしましょう。

そのために非常に重要なのが、Build Settingと呼ばれる設定項目の確認です。
重要なことは、このソースコードは、2016/4現在は32-bitでしかビルドできないということです。ここを、勝手に64-bitなどに変更してしまうと、ビルドはできません。32/64ユニバーサルもNGです。

もう一つ重要なことは、先ほど設定していただいた通り、OsiriXは現時点ではMac OS X 10.8のSDKに依存しているということです。ここを勝手に自分のPC環境などに合わせて最新のもの(例えば10.11など)にしてしまったりすると、ビルドできませんのでご注意ください。

これらの2つの注意点に留意して、プロジェクトを選択してから、そのBuild Settingタブを表示させ、すべてのビルドターゲットのBuild Settingがこれらの2つの設定となっているか確認してください。

以下のビルドターゲットのBuild Settingのうち、Architecturesは以下の設定にしてください。
  • OsiriX:32-bit Intel(i386)~
  • DCM Framework:32-bit Intel(i386)~
  • Unzip binaries:32-bit Intel(i386)~
  • Build All Prerequisites:32-bit Intel(i386)~
  • Decompress:32-bit Intel(i386)~
  • DICOMPrint:32-bit Intel(i386)~
  • OsiriX API:32/64-bit Intel~
※"~"は、ほにゃらら、または、ほげほげという意。

そして、Base SDKやDeployment TargetなどはすべてOS X 10.8のバージョンにセットします。Base SDKはコンパイルに利用するSDKです。Deployment Targetというのは、どこまで昔のMac OSに対応させるかを設定する項目です。例えば、10.8にした場合は、10.7では起動せず、それ以上のMac OSで起動できるアプリケーションを作ることができます。


(プロジェクトを選択してBuild Settingを表示。Build Settingはビルドターゲットを変えながらすべて確認しましょう。一つでも「OS X 10.11」などに設定してしまっている場合は、10.8に切り替えてください。)

Unzip Binariesをビルド


ここまでできたら、もうあなただけのOsiriXをビルドするまでもう少しです。

まず、ビルドターゲットをUnzip Binariesにセットし、Unzip Binaries>My macとしてビルド(再生マークのような右向き三角マークを押す)してみましょう。
そうすると、Build Succeeded!と表示されるはずです。


(Unzip Binariesをビルド)

OsiriX.appをビルド

同じような機能を持つアプリケーションをベンダーから買うと数百万します。そのようなアプリケーションをあなたは自分の力で起動しようとしています。

ビルドターゲットをOsiriXに変えて、OsiriX>My mac 32-bitの設定でビルドをRunしてください。




起動までは少し時間がかかります。無事にビルドできると、OsiriXが起動されます。

残念ながら、ここで、赤いエラーマークが出たら、もう一度、上記の設定が正しくできているかどうかご確認ください。



無事にビルドできると、OsiriXが起動されます。この例では、筆者が少しOsiriXのインターフェースにカスタマイズを加えているので、いつものOsiriXとは容姿が異なっていますが、みなさんのOsiriXは、OsiriXそのものが起動できたはずです。

無事にビルドできた方、お疲れ様でした。


最後に


もし、どうしてもわからない!という方は、ご連絡をいただければ何かしらアドバイスは可能かもしれません。また、今回のソースコードはGitHubで公開予定です。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床研究(臨床試験)サポートサービスを展開しております。OsiriXシリーズも販売中です!よろしくお願い致します!

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神奈川OsiriXユーザ"600"以上を目指してがんばります!


2016年2月21日日曜日

第6回 OsiriXのパワーを引き出すプラグイン総説(簡単にご紹介)

本ブログを第1回からご覧いただいている方は、OsiriXの簡単な使い方や、あ〜、こういうこともできるのかなど、いろいろとお気づきになられていると思います。

今回は、この使い方の一つとして、非常に重要な概念となる「プラグイン」についてご紹介いたします。

プラグインとは、ソフトに機能を追加するための小さなプログラムのことです。

OsiriXは基本機能が充実していますが、ユーザーによっては、

  • あのワークステーションにはついてる機能がついてないなあ
  • もっとここで別の処理ができたらいいのに
  • こういう機能があったらもっと便利なのに
  • このソフトで自分の考えたアルゴリズムが試せたらいいのになあ

など、思うところがあるかと思います。

こういったユーザの希望に応えるのがプラグインによる機能の拡張です。

今回は、OsiriXプラグインについて、これまでに公開されているプラグインの紹介や、その使い方、およびプラグインを利用する際の注意事項と対策などをご紹介していきます。

OsiriXプラグインとは


オザイリクスはプラグインのアーキテクチャがあります。プラグインはオザイリクスに一度インストールするといつでも使えるようになります。プラグインは特定のプラグインフォルダ(/Library/Application Support/OsiriX/Plugins)にインストールまたはOsiriX自体にバンドルされ、その拡張子は、.osirixpluginや.plugin拡張子となります。

プラグインはOsiriXのメニューから選択して使います。

(プラグインメニュー選択画面)

見てわかる通り、プラグインは4つのグループに分かれています。
  • Image Filters:画像を操作するプラグインです。
  • ROI Tools:新しいROI追加または既存ROIを使うプラグインです。
  • Database:DICOMファイルの参照とデータベースへの保存などを行うプラグインです。
  • Report:構造化レポートプラグインです。//2016/4月から新規追加
  • Others:他のグループに属さないプラグインです。

この分類はとても重要です。使うときも、作るときも、このグループに沿って使っていきます。

公開済みの公式のプラグインは、プラグインメニュー下のプラグインマネージャから行っていきます。このプラグインマネージャから、インストール済みのプラグインの参照や削除、新規プラグインのインストールが可能です。

(プラグインマネージャ:インストールされたプラグイン参照)

(プラグインマネージャ:新規にダウンロードを選択する画面)

仮に、ダウンロード&インストールを実行すると、OsiriX再起動のポップアップメッセージが表示されます。一旦、OsiriXを終了して、再起動すると、プラグインメニューに追加されます。


OsiriXプラグイン一覧とその機能概要


公式のプラグイン一覧は以下の通りです(2016/2/21時点)。
各詳細は、プラグインマネージャの内容説明メージで詳述されていたり、別にWikiページが作られているので、参考にされてください。

  • ADC map
  • B1_Map
  • BulsEye
  • CalciumScore
  • Coronary Angiography Report
  • Cranial Nerves
  • Dashboards and Analytics
  • Dental3DPlugin
  • DMGS
  • DTI Map
  • Ejection Fraction
  • EP(Edge-Preserving smoothing filter)
  • Export ROIs
  • Fusion Tool Plugin
  • grid
  • Hip Arthroplasty Templating
  • inTag(Cardiac MR tagging analysis toolbox)
  • Invert Data
  • JPEG(JPEG2000 Tester plugin)
  • JPEG to DICOM
  • MRHeart
  • Orthopaedic Studio
  • OrthView(Orthopaedic Pre-operative Planning and Templating)
  • PDF to DICOM
  • Quicktime2DICOM
  • Reporter
  • Resample Data
  • ROI Enhancement
  • Series Same Orientation
  • SNR Calculation
  • T2 Fit Map
  • TAVI Planning
  • Totoku
  • UMMPerfusion
  • VetHP(有償)
  • Volume Calculator

(インストールできるプラグイン一覧:最下段は"Volume Calculator")

この一覧に加えて、BIRAD, PIRAD Liver, TAVI などの構造化ReportプラグインがOsiriXにデフォルトで付随しています。

OsiriXプラグインの使い方ープラグインのインストール、起動方法、使い方・調べ方ー


ここから、プラグインの利用例として、簡単に操作できる"ROI Enhancement"を使って、インストールから機能の実行までを試してみます。例えば、こんなことができます。

(脳腫瘍領域と正常組織領域との信号値の比較)


まず、プラグインマネージャのダウンロードタブから、利用可能なプラグインドロップダウンリストのROI Enhancementを選択して、ダウンロードをします。ユーザ権限確認のためのOSXからのパスワードの要求がありますので、そのまま入力します。


ダウンロードが完了すると、プラグインマネージャのインストールされたプラグインに、追加されます。

(ROI Enhancementが追加された)

プラグインをインストールしたら、一度OsiriXを再起動します。
そして、初期起動画面で、OsiriXのプラグインメニューを確認してみましょう。
ROIツールに"ROI Enhancement"が追加されていることがわかります。しかし、まだこのままでは使えません。これは、プラグインのグループによって、起動する方法があるからです。例えば、イメージフィルタタイプのプラグインは、2Dビューアを起動してからでないとアイコンがアクティブになりません。ROIツールも同様です。

(起動直後(何も画像を開いていない時)の状態)

ROIツールをアクティブにするために、任意の画像を開きます。すると、ROIツールの"ROI Enhancement"がアクティブに変わります。(ここではOsiriXサンプル画像のBrainxを表示してからの操作を示しています。)


早速、ROI Enhancementを起動しましょう。

(ROI Enhancement起動画面)

今は何もありません。ここから、任意のROIを使ってここにROIを認識させていきます。
2DビューアのメニューのROI選択の中から、楕円ROIを選択し、任意の場所にROIを作成してみましょう。すると、自動的にROI EnhancementがROIを認識して、グラフを描画してくれます。このグラフには、ピクセルのmean, max, minを表示することができます。Filというチェックをアクティブにすれば、meanのグラフの上下に、maxとminを帯状に表示します。

(ROIを一つ作成:縦軸:信号値、横軸:スライス)
※スライスは0からカウントされるので、DICOMタグ上のスライスNoから一つだけずれます。


ここまでできたでしょうか?

ここまでできたら、次は、もう一つROIを増やしてみてください。すると、同じ色のグラフで、ROIが認識されて追加表示されるはずです。

(ROIを2つ作成)

ROI Enhancementの機能の基本的な使い方はこれで終わりです。もう少し使いこなしたい方は、OsiriXメニューのROI>ROIマネージャによって、ROIに名前を付けたり、ROI情報によってROIの色を変えたりすることで、ROI Enhancementにもその情報が反映されて、より快適な解析ができます。解析結果の出力もできます。


ここまでの操作で、最初にお見せしたような解析ができます。試してみてください。

実は誰でも作れるプラグイン


OsiriXプラグインは誰にでも作れます。OsiriXプラグインプログラムの作成はとても楽しく、そしてなんと無料です。(もちろん、ハードウェアを購入する必要はありますが、、。)

ユーザは、オザイリクスのプラグインアーキテクチャに則って、任意の機能追加ができます。よくある例としては、DICOMデータ、ヘッダーデータへのアクセスや処理、特定のシステムとの統合のためのインターフェースなどです。

実際に開発を始めるには、Mac OSX搭載のPCを使います。
プログラミング言語は「Objective-C」です。このObjective-Cはダイナミックかつオブジェクト指向で、JavaやC++などのプログラミング言語に似ています。シンタックスは同じと思っていても差し支えないと思います。もし、JavaやC++を書ける方は、Objective-Cを2日程度学べば、すぐに使えるようになりますよ。

おすすめの書籍は以下のものです。日本語訳も出ているので、興味がある方は調べてみてください。
  • Cocoa Programming for Mac OS X by Aaron Hillegass
  • Learning Cocoa with Objective-C by James Duncan Davidson & Apple,Inc.
  • Programming in Objective-C by Stephen Kochan

開発に利用する統合開発環境は「Xcode」です。
Xcodeは非常に優れた開発環境で、オープンソースのGCCコンパイラに基づいています。

プラグインを作る簡単な方法は、OsiriX Plugins source codeに同梱されている”Plugin Generator”を使うことです。これはAppleScriptで動きます。ウィザードに沿って作るだけで、プロジェクトが自動的に作られていきます。OsiriX Plugins source codeはGitHubから入手できます。

安心してください。作り方については、次回詳述いたします。楽しみにしていてください。

今まで、メーカー開発に頼っていませんでしたか?これからは、自分でつくりましょう!
みなさんの頭の中にある素晴らしいアイディアを形にして、研究に生かすことで、よりよいソリューションの開発・普及が進むと信じています。

こういった活動のスパイラルの原点は、医用画像を作り出す技術者の方々です。

そして、自分が作ったプラグインが素晴らしいものであるならば、ぜひ公開しましょう。
公開する方法には、2つの方法があります。

  1. 教育や普及を目的にオープンソースとして公開する
  2. 実用化を目指して有料で公開する

前者で公開される場合には、Pixmeo社に問い合わせて見てください(下図参照)。

後者でお考えの方は、製造販売ベンダーとの契約などもできるかもしれませんので、前向きに取り組んでみてください(国外の取り組み例:osirix plugins.com:http://www.osirixplugins.com/plug-ins/clinical.html)

最後に


ここまでお読みいただいて、自由度の高いプラグインプログラムを活用したい、作りたくなった方はいらっしゃると思います。

一方で、注意事項もお伝えしなければなりません。プラグインの中には、悪意を持って作られたものもあるかもしれません。オザイリクスはこのようなものも起動できてしまいます。この点については十分に注意して利用する必要があります。

本家から公式リリースされていないものについては、しっかりとソースコードレベルで検証したもののみを、自分のOsiriXで使ったほうが、安心して使えます。

また、自作したプラグインを研究や教育および画像の参照に利用するときにも、しっかりと機能の検証を第三者に依頼をされることをおすすめします。例えば、プログラミングができる知人などでもいいでしょう。こういった検証を行って管理することを、コンピュータ化・システム・バリデーションといいます。

今回は、OsiriXのプラグインについてご紹介いたしました。次回は実際に簡単なプラグインを作っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

備考


このようなコンピュータ化・システム・バリデーションを含む、オザイリクスプラグインサポートをご希望の方は、下記までご相談ください。

ビジョナリーイメージングサービスは、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、GRAPHYを開発しています。オープンソースです。

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床研究(臨床試験)サポートサービスを展開しております。OsiriXシリーズも販売中です!よろしくお願い致します!

2016年1月30日土曜日

第5回 OsiriXの画像表示機能!

今回は、OsiriXの便利な画像表示機能をご紹介いたします!

画像の表示は、医用画像ビューワの一番ベーシックな機能です。しかし、単に表示だけできるという単純なものではなく、複数の患者データの画像を表示したり、複数シリーズを表示したり、画面のレイアウトの変更や、ショートカットキーなど、細やかな開発者の気配りがなされています。

ここでは、このような機能について、使い方も含めてご紹介していきます。

ローカルデータベースウィンドウ


まずは、オザイリクスの初期起動画面となるローカルデータベースウィンドウから見ていきます。オザイリクスの各種操作はすべてこの画面を起点にして行っていきます。

画像操作については、スタディリスト上に表示されている画像データを選択し、スタディに含まれているシリーズリストと、選択シリーズの画像のプレビューを行うことができます。

各種、詳細設定については、メニューバーの"OsiriX"から"環境設定"を選択して設定できます。

ローカルデータベースウィンドウ

ダブルクリックで起動する2Dビューワ


それでは、早速、画像を表示してみます。画像はDICOM画像です。まずは、スタディリストか、シリーズリストから、任意の画像を選択(ダブルクリックあるいは選択した状態でツールバーの2Dビューワを起動)して、2Dで横断像を表示してみます。

2Dビューワ

2Dビューワでは、画面左側のシリーズリストから表示する画像を切り替えることができます。同様に、メニューバーのシリーズドロップダウンリストからも切り替えることができます。

また、メニューバーのウィンドウを複数のウィンドウにすれば、複数シリーズが同時に表示できます。

ウィンドウを3ウィンドウに変更

このように表示することで、同じ位置を検査している場合には、ある程度の位置を同期しながら観察することができます。同期というのは、異なる時間に撮影された同じ検査範囲の画像、あるいは、元画像は同じで画像処理がそれぞれ異なる画像などを、複数のウィンドウで表示して、このすべてのウィンドウ(この例では3ウィンドウ)に表示されている画像が、同時にページングされる(スライス送りされる)ことをいいます。この同期の位置の調整や同期のOn/Offはツールバーの2Dビューワの機能の中に含まれています。

また、PET-CT、PET-MRIなど、最近では異なる撮影(撮像)原理で取得された画像を重ね合わせて表示することがあります。これは、PET装置から取得される画像の精度を高めるためや、解剖学的位置がはっきりわかる画像とぼやけて見えるPET画像とを重ね合わせることで、位置関係の観察をしやすくするために利用されます。

このような表示も、オザイリクスは標準搭載です。

(3ウィンドウでPET-CT3シリーズを表示)

ここで、一番左側の画像が重ね合わせ画像(フュージョン画像)です。
このフュージョンもオザイリクスは自動で行ってくれます。また、重ね合わせの組み合わせは、画面左のシリーズリストの色で判別できます。赤はベースの画像、緑が重ねられている画像です。この組み合わせはデフォルトでは自動で行われますが、組み合わせを任意に変更することもできます。ひとつは、データベースウィンドウに戻ってから、ベースとなる画像を選択した後に、重ねたい画像を"command"+左クリックで選択して、2Dビューワを起動します。

(重ね合わせ画像:緑のシリーズが変更された)

もうひとつは、ウィンドウの上部のウィンドウ名が表示されている部分を左クリックして、ベースとなるCTやMRI画像のウィンドウにドラッグします。

(PET画像ウィンドウ上部をドラッグして、CT画像ウィンドウにドロップ)

すると、ポップアップが現れるので、イメージフュージョンをそのまま選択すれば、フュージョンが実行されます。もう一工夫、位置あわせの調整なども可能ですが、これはまたの機会にします。

また、重ね合わせている画像が煩わしくなった時や、少し透過度を変えて見たいときなどは、透過度を変更できます。これは、フュージョン画像を表示しているウィンドウを選択した状態で、(command+Shift+F)または、メニューバーのスケールを調整します。ただし、デフォルトでは、スケールが表示されないので、ツールバーのフォーマットから、ツールバーをカスタマイズから、表示される設定画面から、メニュー画面へ追加するようにします。この方法で、ツールバーは好きなようにカスタマイズできます。

("ツールバーをカスタマイズ"を起動した画面)

複数画像を位置ウィンドウの中に指定の行列でタイル表示することもできます。これは、2Dビューワのタイル表示機能を用います。

(5×5タイル表示)

画像だけでなく、画像に付帯する患者情報の確認も可能です。これは、基本情報だけであれば、メニューバーに設定されたラジオボタンや、詳細を見る場合には、メタデータから閲覧することができます。

(メタデータの表示)

また、ウィンドウ内でShitを押すと、拡大レンズ(4倍ズーム)や、2D曲面MPR・Orthogonal Reslice(直行面MPR)、さまざまな隠れショートカットキー(ホットキー)、例えば、2Dビューワからローカルデータベースウィンドウへ戻る(Command+D)など、書ききれない機能がたくさんあります。これらの機能については、また追い追い触れていきますが、ほとんどの機能は、ツールバーの2Dビューワのリストや、2Dビューワウィンドウのメニューバーに集約されているので、試して損はしないので、いろいろとやってみるとおもしろいと思います。

今回はよく使う2D画像の表示方法について述べました。
自分の利用用途に応じて操作方法を習得すると、さくさくと業務が進むかもしれません。

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2016年1月1日金曜日

第4回 OsiriXのパワフルな機能の紹介

今回はOsiriXのパワフルな機能をざっくりとご紹介いたします。
特徴や活用用途などについて簡単に解説いたします。

OsiriXの機能一覧


OsiriXは数ヶ月に一回マイナーチェンジ、年に一回程度、大幅なバージョンアップがされています。2016年1月時点で、OsiriXの最新バージョンは7.xです。
このOsiriXの主な機能は以下のようなものがあります。(詳細な機能や搭載技術はこれに限りません)


  • 2Dビューワ
  • 3Dビューワ
  • 4Dビューワ
  • マイクロPACS
  • HIS/RIS連携


今回はこれらの機能について概要について触れたいと思います!

2Dビューワ


OsiriXは医療施設で使うことを想定した医用画像表示ソフト(DICOMビューワ)としての機能をしっかりと備えています。PET画像でよく行われるフュージョンも可能です。

(起動画面)

(2Dビューワ表示画面)

主な計測機能には距離、角度、面積、矩形および楕円形の面積、関心領域(ROI)を束ねた体積計測などがあります。

(各種表示設定機能)

(計測機能)

(WW/WLコントラストプリセット)

(カラールックアップテーブル)

画像の操作では、WW/WLのプリセットからの選択やマウスドラッグによる任意コントラスト調整、画像回転、拡大縮小、拡大レンズ機能、画像パンニング(移動)、過去画像との比較表示、複数シリーズ同時表示(表示タイル選択分割)、カラールックアップテーブルの設定などが行えます。

3Dビューワ


3Dビューワとして利用する場合には、CTやMRIなどの画像からボリュームレンダリングを行ったり、最大値投影法(3D MIP)を使った表示をしたり、表面だけをレンダリングするサーフェスレンダリング、ボリュームレンダリングの視点を内部に設定したバーチャル3D内視鏡機能(CTコロノグラフィーやブロンコグラフィー)などが利用できます。
ボリュームレンダリングだけでなく、MPR機能も豊富で、一般的な多断面表示に加えて、曲面MPRも作成可能です。

(ボリュームレンダリング)

(フライスルー:CTコロノグラフィー)

(MPR)

カーブMPRはこちらを。
(http://www.osirix-viewer.com/OsiriX-GUI/Aorta%20Segmentation.m4v)

4Dビューワ


OsiriXでは、上述のような3D表示機能に、時間軸も加味した画像表示機能が備わっています。例えば、時間をずらして撮像したCTやMRIたアンギオ画像などを経時的に観察できるため、臓器の機能や動きなど、時間の経過による変化を見る用途に向いています。

4Dプレーヤモードはこちら(動画がダウンロードできます。)
※複数シリーズを同時に表示して観察できるということがわかります。

マイクロPACS


PACSとは、画像保存通信システムのことです。
OsiriXはそのままのデフォルト設定で、比較的小規模のPACSとして機能します。実際にクリニックなどではOsiriXそのままで運用されているケースもあるようです。
数百〜千床以上ある病院では、DICOMサーバと連携させて本格的な大規模PACS構築も可能です。DICOMプリントとレポート作成機能もあります。

OsiriXはDICOM3.0に完全準拠しており、この規格で運用されている画像、例えば、レントゲン画像(CR/DR)、アンギオなどの透視画像、CT、MRI、DEXA、PET、SPECT、超音波、内視鏡、眼底カメラなどのさまざまな画像診断機器から作成される医用画像をDICOM暗号化通信を利用して共有したり、ビューワ機能で表示したりすることができます。

OsiriXのローカルデータベースにはSQLiteというデータベースエンジンが採用されています。ハードウェアのスペックにも依存しますが、約10,000スタディを越えると動作が重くなるという報告もあります。

もちろん、他院から持ち込まれた医用画像の取り込みや、その逆のパターンで、他院に紹介をするときの画像やレポートの出力も可能です。

(クライアント設定:AWS EC2との接続)

(DICOMリスナー設定:他のアクターと接続するための設定)

HIS/RIS連携


OsiriXはHIS/RISのアプリケーションではありません。しかし、このようなアプリケーションが画像診断関連のネットワークシステムに組み込まれている場合は、ネットワークアドレス管理のもとで、特定の情報をシェアすることができます。これを実現するのが、XML-RPC機能です(ユーザーコミュニティはこちら:http://xmlrpc.scripting.com/)。
OsiriXはこの機能を使って特定のDICOM情報をXMLにして、httpを使って通信します。

OsiriXにはすでにXML-RPCメッセージがいくつかビルトインでサポートされているので、あとはこれらをうまく使うことで、HL7のCDAドキュメントとうまく連携させることができます。

(XML-RPC設定)


プラグインによる機能追加


上記の機能のほか、OsiriXユーザや研究者が独自に開発したプログラムをOsiriXで利用可能にするプラグインも豊富に公開されています。
これらのプラグインはユーザーが開発することもできます。独自開発プラグインは開発者の著作で取り扱うこともできます。あるいは、Pixmeoに連絡して正規プラグインとして取り扱ってもらえるかどうか相談することができます。

現在もたくさんのプラグインが公開されており、これらをインストールするためには、起動画面のプラグインメニューからプラグインマネージャを起動して、任意のプラグインをインストールすることができます。

(プラグインマネージャ)
※任意のプラグインをインストールできる。

おわりに


いくつかの代表的な機能の概要を紹介しましたが、ここでは紹介できていない機能がたくさんあります。いくつかの機能の紹介はPixmeoが公開しています。(http://www.osirix-viewer.com/Snapshots.html)

実際には、これらの機能を実情に合わせて利用することになります。次稿より、各機能に特化して、具体的な操作も交えてご紹介をさせていただく予定です!

Visionary Imaging Services, Inc.は、イメージング技術サポートを通じて、創薬研究や医療機器開発など、臨床研究(臨床試験)サポートサービスを展開しております。OsiriXシリーズも販売中です!よろしくお願い致します!

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2015年10月30日金曜日

Mac OSを医療ITインフラに統合する -OsiriXを医用画像ワークステーションとして使う-

Mac OSを医療ITインフラに統合する
 -OsiriXを医用画像ワークステーションとして使う-

※より詳細な部分の操作方法や、文章の研磨のために、随時、更新しています。あしからず。

はじめに


医療ITインフラには複数のオペレーティングシステムが共存しています。Mac OS XもそのOSの一つです。
本稿では、マンハイム大学病院の事例を参考にしながら、Macシステムで動作する医用画像ワークステーション「OsiriX」の実装について紹介します。

Macプラットフォームは科学研究で広く使用されていますが、多くの医療機関のIT部門は、Macプラットフォームの採用を躊躇してしまうことは事実です。

これは、既存のシステムがMicrosoft Windowsが支配する環境であるために、この中にMacシステムを統合することは困難である印象が一部のIT担当者の中に定着していることも要因の一つと考えられます。
本稿は、主に、予算に制約のある医療機関が、より手頃な価格で、必要とするイメージングワークステーションを取得する方法を説明することを目的としています。

また、Microsoft Windows中心の環境の中で、このようなMacベースのワークステーションを展開するために必要な手順の概要の説明を含め、医療機関が、OsiriXを医療ITインフラに統合する方法を示します。

増加するイメージングデータのマネージメント


放射線医療では常に革命が起こっています。画像データはそのボリュームや用途が爆発的に増加しています。新しいイメージングモダリティは、一世代前のものと比べて、数百~数千倍のデータ量を取り扱うようになってきています。
より良い画像データは、明らかな利点をもたらしていますが、それはまた、高解像度のボリュームデータセットを高速にアクセスすることのできる強力なワークステーションが必要になるということも意味しています。
最適なワークステーションには、異なるイメージングモダリティから収集したデータを総合的に取り扱うことや、メディカルスタッフが診断に関係する情報を可視化できる専門的な解析アルゴリズムを適用する能力が必要です。
そして、画像処理、ネットワーキング、および2D/3Dアルゴリズムの機能のすべてを直感的なユーザインタフェースを介してアクセスできることも必要な要件になります。

高コストなイメージングワークステーション


メディカルイメージングツールを提供する大手ベンダーは、これらのニーズをターゲットにしたワークステーションソリューションを提供している。
しかし、一般的に、これらのワークステーションの導入やライセンス購入には、およそ400万~600万程度の費用を支出する必要があります。
その結果、予算が苦しい病院や診療所は、高度なイメージングツールを利用することができないまま患者のケアをすることを余儀なくされる可能性があります。
このような現実は、メディカルチームが迅速かつ効率的に救急救命や治療・診断を提供するためのワークフローを確立できないという問題の原因になる可能性があります。

イノベーションを起こすOsiriX


オープンソースソフトウェアの開発者の努力と、強力なアップルのMacシステム(例えば、Mac Pro)により、手頃な価格でイメージングワークステーションを構築することができるようになりました。このワークステーションは、予算的な制約が原因で、病院の放射線科チームしか使えなかったワークステーションを、イメージングデータへのアクセスを必要とする他の医療従事者にも利用可能にするメリットを持っています。

OsiriXは、Mac OS Xのオペレーティングシステムで実行できるオープンソースの画像処理ワークステーション用アプリケーションであり、メディカルスタッフは、放射線科で取得された画像データ(DICOMデータ)や、その他データなど、ほとんどの医用画像にアクセスすることができます。
OsiriXは、事実上ほぼすべてのイメージングモダリティの画像をサポートしており、DICOMネットワーク機能を備えています。

多断面表示、サーフェスレンダリングおよびボリュームレンダリングアルゴリズムを有し、時間軸を加味した心臓MRI・CTなどの4Dイメージングに対応、画像の重ね合わせ表示のためのフュージョン機能なども実装され、商用DICOMワークステーションと同等の高度な機能を含んでいます。

OsiriXは、サードパーティ製のプラグインを実装するカスタマイズが可能であり、さまざまなワークフローへの対応や、画像保管通信システム(PACS)との統合など、柔軟にOsiriXを利用できるよう配慮されています。

OsiriXは、64ビットOS対応アプリケーションとしてインストールすることができ、従来の32ビット対応ワークステーションに比べて、大量のデータセットを高速に取り扱うことができます。

OsiriXは、オープンソースコミュニティの恩恵を受けており、この後押しで、急速に発展しています。
多くのオープンソース開発者は、定期的にエンドユーザーの要求に応じて新しい機能を組み込んでいる。
OsiriX以外にも、コストを意識した放射線医療指向のソフトウェアプロジェクトは存在するが、OsiriXの性能に匹敵するレベルになることは難しいと考えられています。この理由は、このようなオープンソースプロジェクトが、猛烈な技術革新の流れの中で開発されるためです。

Apple Mac ProとMac OS X


アップルのMac OS Xオペレーティングシステムは、UNIXシステムの強力かつセキュリティ対応技術が組み合わさったユーザーフレンドリーなインターフェースをもつ、先進的なオペレーティングシステムの1つです。
バージョン10.5(Leopard)から、Mac OS Xは、現代のCPU(32ビット)のフルパワーを解き放つ4TB(テラバイト)以上の物理メモリと16EB(エクサバイト)以上の仮想メモリの使用を可能にする64ビットアプリケーションをサポートしています。
Mac OS Xは、Objective-CとCocoaフレームワークなどの近代的なプログラミング技術を介して、新しい世代の技術のための安定かつスケーラブルなツールとしてプロフェッショナル向けの環境をサポートしています。

Mac OS XはMac Proシステムと組み合わされることで、高性能ワークステーションになります。例えば、数TBのストレージ、32GB以上の物理メモリ、高性能コアプロセッサ、NVIDIAグラフィックスカードオプションの選択などで、ユーザ要件を満たすことが可能です。
高精細モニターへの画像出力もできます。同時出力可能なモニター制限数もハードウェアの進化とともに許容数が増加しています。

ケーススタディ:マンハイム大学病院におけるOsiriX イメージングワークステーションの統合


マンハイム大学病院は、他の医療施設と同様に、医療情報システムのクライアントコンピュータ用の標準的なオペレーティングシステムとしてMicrosoft Windowsを採用しており、高度なインフラストラクチャを長年かけて開発しています。
この高度なITインフラは、その複雑性から、システムの調整や維持を困難にすることもあり、OsiriXの統合も難しいと考えられていました。しかし、結果的に、このようなITインフラはOsiriX統合の検証をするための適した環境だったということがわかる結果となりました。

マンハイム大学病院(2008年時点)


マンハイム大学病院はドイツ南西部に位置し、ハイデルベルク大学と提携した医療施設です。
病院は(手術、内科、眼科、婦人科など)およそ18診療科と診断および研究のためのおよそ12部門から構成されています。約4500の従業員が、年間約30万の入院/外来患者に対応している中核病院です。

ITインフラストラクチャ


中央IT部門は、患者の記録、検査結果、画像、およびその他の情報を処理・保存するために、施設全体で使用される約2000台のITクライアントと、その管理をするためのサーバシステムを管理しています。
このシステムは、電子メールやインターネットアクセスも提供しており、このインフラを構成するハードウェアは、OSや計算処理能力、ネットワーク構成がそれぞれ異なっています。
利用されていたMicrosoft Windowsは、Windows-NTからVistaまで、多様なOSのバージョンがクライアントシステムに搭載されている状況でした。

LinuxおよびUNIXベースのシステムは、ファイルおよびプリントサーバ、部門サーバ、モダリティ制御システムなどの特殊用途に利用されています。
いくつかの部門ではすでにMacシステムを利用している状況でした。これらのMacシステムは主に、研究者、教師らがなんらかの情報処理やグラフィックスおよびビデオコンテンツ作成のために利用していました。

放射線部門および核医学部門


これらの部門は、一般X線撮影、CT、MRI、小児イメージング、インターベンショナルイメージング、核医学イメージングなど、院内の画像検査を監督しています。
放射線専門家は、検査の計画やレポートにアクセスするために、約150の放射線情報システム(RIS)のワークステーションを利用しています。

このうち、80の画像可視化/処理ワークステーションは、PACSアーカイブで保存された45TBの画像データを扱う設定になっていました。
さらに、4つの部門PACSサーバが、オープンソースや商用の製品でバッファリングやデータ共有のやり取りをしている状況でした。

IT管理とガイドライン


ITインフラストラクチャに新しいシステムを追加するとき、新しいコンポーネントには一般的なIT規制と放射線及び核医学領域の特別な規制への遵守が必要になります。

ユーザとシステム管理者


インフラストラクチャは、いくつかのWindowsドメインによって、ユーザとリソースを整理している状況となっていました。
これらの管理には、Windowsサーバのアクティブディレクトリ(Active Directry)機能を利用しています。この機能により、部門ごとにユーザとコンピュータを識別する運用です。

ITセキュリティ


病院のセキュリティポリシーは、ISO27001の認証規格で概説された国際ITセキュリティガイドラインに準拠しています。
連邦電子情報保安局(BSI)は、ユーザのニーズ把握、セキュリティ対策、データ保護など、その検証や実施方法をガイドラインやマニュアルとして公開しているため、病院のITシステムは、これに従って、商用コンピュータウィルス検出アプリケーション(Sophos Anti-Virus)、デバイス制御ソフトウェア(SecureWave Sanctuary Device Control 3.1.138 )が装備されています。

このような規制に準拠していない患者のデータを扱うアプリケーションは、臨床の環境で使用することが許可されていない。放射線科で使用されるワークステーションも同様です。

放射線医療ワークステーションの統合の要件


マンハイム大学病院では、新しく追加/リプレイスされる放射線ワークステーションが、いくつかの基準を満たす必要がありました。

・電磁場やセキュリティおよび一般的な運用規定

・既存のインフラストラクチャへの統合
コンピュータは、認証サービスおよびファイル/プリントのためのアクセスが可能かつ、既存のドメインまたはAD構造に統合できる必要がある。

・デバイス・アクセス・コントロール
データ保護とウィルス対策、リムーバブルメディアへのアクセス、ネットワークリソース、およびCD/ DVD用の焼き付け機器はユーザレベルで管理する必要がある。ハードディスクへのアクセスを拒否するファームウェアも確保する必要がある。

・ウィルス防護
ワークステーションは、病院が利用している商用ウイルス対策ソフトウェアのクライアントを利用し、ソフトウェアのアップデート用のサービスと接続する必要がある。

・高精細モニターのキャリブレーション、適合性・不変性試験
放射線画像診断に使用するディスプレイは、放射線関連の学会によって、厳密にガイドラインが示されており、画像表示の種類に応じて、モニタは解像度、輝度、コントラスト、および均一性のための最小限の規定にあることを保証されなければならない。

・承認された画像表示ソフトウェアとPACSとの統合
臨床で利用する放射線イメージングソフトウェアはFDAなどの規制を通過したものである必要がある。

・病院情報システムと放射線情報システムとへのアクセス
マンハイム病院では、放射線情報システム(RIS)が、HISクライアントと接続されており、HISでは、画像診断レポートのデータ保持ができない設計になっていた。放射線スタッフは、RISワークリスト、画像診断レポート、オンライン音声認識機能などにワークステーションから直接アクセスする必要があり、このためのRISへのアクセスが必要であった。

マンハイム病院への統合の詳細


2007年以降、マンハイム大学病院の臨床放射線及び核医学部門には、MacプラットフォームのOsiriXイメージングワークステーションが導入されています。
ここからは、これらのワークステーションの展開およびテストの詳細について説明する。

ワークステーションの要件


異なるハードウェア構成を有するいくつかのMac Proの世代は、ユーザの作業環境に応じて、OsiriXのワークステーションを構築するために使用されました。
汎用ワークステーションのハードウェア構成は、以下のApple Mac Proを利用しています:
  • Two 3.0GHz Dual-Core Intel Xeon processors
  • 16GB RAM
  • 320GB system hard disk
  • Two 1TB data hard disks forming a RAID 0 set
  • One SuperDrive (DVD-RW)
  • NVIDIA GeForce 8800 GT stereo graphics card
  • Standard Apple Keyboard and Mouse
  • Two 30-inch Apple Cinema Displays 
2015年現在はよりパワフルな構成になっています。

2008年秋時点で、上記のハードウェア構成のコストは、約US$12550であったことが報告されています。
ワークステーションの設定は、2007年8月時点のApple Online Storeにリストされた商用利用可能なものも含んでおり、これらはUSBケーブルベースヘッドセット(ロジテックプレミアムノートブックヘッドセット)およびディクテーションデバイス(フィリップスSpeechMikeプロ)などです。この他、PEHAのmed CD-LUX濃度計を利用しています。

エントリーレベルのワークステーションの設定


使う機能が限られている場合などは、よりコストを抑えた構成が可能です。
このようなエントリーレベルのワークステーションのコストは、2007年8月時点で、約US$6948であったことが報告されています。
  • Two 3.0GHz Dual-Core Intel Xeon processors
  • 8GB RAM
  • 500GB 7200-rpm Serial ATA 3Gb/sec hard disk
  • 16x SuperDrive
  • ATI Radeon HD 2600 XT 256MB
  • Standard Apple Keyboard and Mighty Mouse (U.S. English)
  • 30-inch Apple Cinema Display 

ワークステーションの統合とセキュリティ対策


任意の新しいシステムを統合する際はいくつかの重要なステップがあります。
システムが通信および生産性アプリケーションと相互運用することを保証することや、患者と病院のデータを保護などです。
この作業には重要なステップが含まれます:
  • 認証サービス、電子メール、アドレス帳ディレクトリの統合
  • 個別/システム全体の両方でのユーザーアクセス制御の設定
  • ウイルス検出ソフトウェアを使用したセキュリティの脅威に対するワークステーションの保護


直接的な統合


OsiriXのワークステーションを追加する最初のステップは、ユーザのファイルサーバとプリントサーバ認証と、病院の電子メールやアドレス帳のアーキテクチャを利用することができるよう、ディレクトリサービスにアクセスすることでした。

ディレクトリサービスは、マルチクライアントのコンピュータ、周辺機器、およびネットワークリソースへのアクセスなど、ユーザの管理のために役立ちます。
これにより、IT管理者が、ユニットやグループにユーザーとコンピュータを構成することで、企業全体のアクセスポリシーを一様に登録することができます。
これにより、ユーザは自分の特定のIT環境内の任意のコンピュータシステムにログオンすることができます。

しかし、ディレクトリサービスへのアクセス設定は、異機種混在のIT環境において、時には面倒なことも起こります。
Microsoft Active Directoryサービスが広く普及している場合、Mac OS XまたはUNIX/Linuxのクライアントでは、多くのIT部門がサポートしておらず、いくつかの医療施設では、代替のオペレーティングシステムの導入を禁止していることもあります。

現在のバージョンのMac OS Xは、Active DirectoryにMacクライアントを統合するためのLDAPまたはMicrosoft Exchange Serverなどの関連サービスでユーザーを認証するための強力なツールを提供しています。
管理者は、Mac OS Xのディレクトリアクセスアプリケーションを使用して、統合の詳細指定や、初期Microsoft Active DirectoryへのMacシステムのサインアップができます。

Mac OS Xの環境にログインしたMicrosoft Active Directoryユーザは、標準のMicrosoft Windowsデスクトップに似た一時的なローカルホームディレクトリ構造にアクセスします。
このホームディレクトリは、通常、Windowsクライアントで検出された個人用のファイルが含まれ、ログアウト時にユーザーのActive Directoryプロファイルに同期します。
また、ユーザーはMac OS Xを経由してファイルサーバやプリンタなどのネットワークリソースにアクセスすることができます。
また、病院の電子メールやアドレス帳アーキテクチャとの統合のために、Microsoft Exchangeのアカウントと関連付けられているLDAPサービスにアクセスするApple Mailのアドレス帳アプリケーションを構成することもできます。

注意:
Mac OS Xは、AD構造を変更することなく既存のMicrosoft Active Directoryに統合されますが、アップルのiCalからExchangeカレンダー機能にアクセスするためには、サードパーティ製のプラグインが必要です。

デバイスへのユーザーのアクセスコントロール


Windowsクライアントの場合、すべてのユーザーのデバイスアクセス許可を制御するサンクチュアリデバイス制御ソフトウェアに依存しています。
マンハイム病院の場合、このツールは中央IT部門ですでにプリインストールされており、ログイン時にユーザー固有のアクセス許可セットを適用しています。

Mac OS Xにおいて、ユーザーの権利を制御する最も簡単な方法はペアレンタルコントロールの設定を使用することです。
すべてのローカルのMac OS Xユーザまたはグループは、許可されたアプリケーションの個々のセットを定義することができ、インストール権を付与または拒否することができます。
Mac OS Xの新しいペアレンタルコントロールアプリケーションは、管理者がMacユーザとグループのためにこれらの設定を制御することを可能にするリモート管理機能を備えています。

しかし、USB/FireWireデバイスへの読み取り/書き込みやシステム環境への詳細なアクセスを指定することはできません。
これらの種類の権限を管理するには、Appleのサーバ管理ツール(server admin tool)を使用することができます。
このワークグループマネージャはユーザーやグループの権限を管理するための強力なソフトウェアパッケージです。

アドミニストレータとしてのMac OS X Serverはローカルでもリモートでも広く使用でき、また、Mac OS Xクライアントをローカルにインストールすれば、より細かいユーザー権限管理を行うことができます。
例えば、管理者はリムーバブルメディアやネットワークの場所へのアクセスに対する読み取りや書き込みを制限することができます (例えば、USBスティックや外付けUSBまたはFireWireハードディスクのブロッキングなど)。
Mac OS Xでの構成では、アプリケーション、CDやDVDの書き込み権限、およびいくつかのユーザーインターフェースの外観の詳細など、アクセスを制御できます。

まだ、これらの詳細なデバイスとアプリケーションのアクセスルールは、Active Directoryのスキーマを変更することなく、ワークグループマネージャアプリケーションの現在のバージョンを介してActive Directoryの「管理対象ユーザ」に直接適用することはできません。
適切な解決策は、Open Directoryサーバとして実行するようにMac OS X Serverシステムをセットアップし、このサーバー上のActive Directory認証サポートをアクティベートします。
Appleのオープンディレクトリアーキテクチャは、標準ベースLDAPディレクトリサービスとして、Microsoft Active Directoryなどの独自のサービスと統合するように設計されています。
オープンディレクトリを経由して、管理者が、Active DirectoryユーザーグループをオープンDirectoryグループに追加することができます。
Mac固有のポリシーは、ワークグループマネージャとともにオープンDirectoryグループを適用することができます。
また、この解決策は、Mac OS XクライアントシステムがActive Directoryとオープンディレクトリに同時に追加され、認証サービスとアクセスルールの両方を提供します。

デバイスへのシステムワイドコントロール


デフォルトでMacシステムは「ターゲットモード」で開始します。
その後、システムは、FireWireデバイスと同様に機能し、そのハードドライブは、FireWire接続を介して第二のコンピュータからアクセスすることができます。
また、Mac OS Xはターゲットモード以外に「シングルユーザーモード」またはトラブルシューティングのための「詳細モード」で起動することができます。
これらは、管理とバックアップのために有用な方法ですが、臨床環境におけるセキュリティの危険性もあります。
第三者の侵入などを防ぐために、Appleのファームウェア・パスワード・ユーティリティを使用して管理者がシステムのファームウェア用のパスワードを設定することもできます。
これにより、ユーザーは、光学デバイスまたは外部のネットワークリソースからアクセスする場合に、上記の特別な実行モードに起動する前に、正しいパスワードを提供しなければならなくなります。
ファームウェアパスワードユーティリティを実行するには、システムをインストールディスクを使って起動する必要があります。アプリケーションは、ユーティリティメニューから起動することができます。

より安全に医療データを保護するために、当たり前の話ですが、存在しないデバイスはハッキングできないことを認識しておく必要があります。
すべての未使用ハードウェアは、物理的に無効にする必要があります。
これは、追加のストレージデバイス、Bluetoothと無線LANアダプタをを取り外すことを含みます。
少なくとも、不要なインタフェースは、システムの対応する環境設定パネルで無効にする必要があります。
ソフトウェアでハードウェアデバイスを無効にするもう1つの強力な方法は、/システム/ライブラリ/機能拡張フォルダ内の対応するカーネル拡張を無効にすることですが、管理者はシステム更新によってこれらのモジュールを再度有効にする必要が有ることに注意する必要があります。
内蔵ハードウェアへの物理的なアクセスを防止するために、Mac Proのシステムはケースロック機構を備えています。
内蔵ハードドライブを固定し、その不正な取り外しを防止します。

コンピュータウィルスの対策


ウイルスやマルウェアに対するMac OS Xでの主な利点は、Microsoft Windowsとは異なるということです。
今日のマルウェアの主なターゲットはWindowsであるため、このような脅威は、Macシステムの主要な関心事ではありません。
しかし、オペレーティングシステムは、ウイルスに対して100%の免疫があるわけではないことは、注意する必要があります。
セキュリティ専門家やウイルス対策製品ベンダーはいくつかのウイルスを検証しており、Windows向けマルウェアが感染した電子メールやドキュメントでも、Macシステムを介して広がることがわかった事例があります。
これらの理由から、ウイルス対策ソフトウェアによってMacシステムを保護することが重要です。

マンハイム大学病院では、Sophos Anti-Virusのエンタープライズウイルス検出システムを使用しており、各クライアントは、スキャンエンジンとウィルスシグネチャを更新するための専用サーバーに接続されています。
Sophosは、Mac OS X用ウイルススキャンクライアントソフトウェアを提供しており、簡単にMacのシステム環境設定内を介して設定できます。
任意の時点で全データ、個別ファイル、e-mailなどのスキャンが可能です。

Active Directoryを利用しない単純な統合


単一の放射線科医専用のOsiriXのワークステーションは、管理権限なしでMacのワークステーションのローカル・ユーザーとして、簡単に統合することができます。
次にシステムデバイスへのアクセス制御に関する前述の方法も、単一のローカルユーザに適用することができます。

HISやRISなどの情報システムへのアクセスがWindowsのエミュレーションに基づいている場合、必要なアクセス権がそのエミュレートされた環境内で設定されるため、Active Directoryへの統合もその中で行われるために、特別なMac OS Xの設定は不要です。
マンハイムでは、単一の放射線科医の個人専用Macワークステーションのためにこの方法が使用されています。

Apple Cinema Display/Thunderbolt Display 


Apple Cinema Display/Thunderbolt Displayはカラーの液晶モニタで、その画素数は一般の高精細モニタに引けを取らないマトリクスを有しています。例えば、Thunderbolt Displayは2560×1440(およそ3.6M)の解像度を持ちます。
このようなMacのモニタに対して、DICOM標準に規定されているテスト方法でグレースケール表示能力を検証した結果、キャリブレーションを行うことで推奨のGSDFカーブへのフィッティングが可能という報告があります。

OsiriXのインストールとPACSへの統合


承認された画像表示ソフトウェア:FDAとCEレギュレーション


ほとんどの国では、臨床で医用画像の読み取りに使用されるソフトウェアは、特定の法的要件を満たす必要があります。
これらの要件には、管理プロセスもとで、品質とリスク管理のコントロールが行われ、ソフトウェアを開発するプロセスも含まれます。
要件には、ソフトウェアのドキュメント(DICOM適合ステートメント、テクニカルドキュメントおよびユーザマニュアル等)やインシデント管理システムのような側面もカバーすることが含まれています。
信頼性、再現性、および一貫性を保った条件のもとで、これらの規格の結果に応じて開発されたシステムが臨床では利用されています。

OsiriXは、オープンソースバージョンとは別に、FDAとCEレギュレーション対応済みのパッケージも低価格で提供されています。

一方で、オープンソースバージョンでは、その開発の流動性がこのようなレギュレーションプロセスに適合できません。継続的なオープンソースコミュニティの開発によるオープンソースのコードは常に変更され、これらの変更は、アプリケーションの不安定さの原因になりえるためです。これにより、品質保証結果が無効になる可能性もあります。オープンソースのOsiriXのバージョンはいくつかの専門的な臨床業務のために使用することができるますが、ソフトウェア・エラーに起因する医療過誤の問題は、ユーザーによって処理されなければならないので、これは、推奨されません。
OsiriXはオープンソースで公開されており、ユーザーからのフィードバックを受けて急速に進化していくことが強さの秘訣です。この強さとレギュレーションとを区別して提供されていることに留意してください。

PACSとOsiriXとの統合


OsiriX内蔵のネットワーク機能は、DICOMに準拠しており、PACSのアーキテクチャにシームレスに統合することができます。
OsiriXは、ユーザーレベルのアプリケーションとして設計されているため、任意のシステムレベルのデータベースサービスのインストールは必要ありません。
OsiriXの統合の際、他のDICOMワークステーションは、OsiriXのワークステーションを参照することができ、逆にOsiriXが他のDICOMデータベースから画像を引き出すこともできます。
また、複数のシステムからの同時クエリをサポートし、リモートでの他のネットワークノードとの画像の転送をトリガすることもできます。
これは、部門サーバなど(gatewayなど)によって、より効率的な映像配信を可能にします。

OsiriXは、研究や教育目的の画像データ管理を容易にするために、複数のローカルデータベースをサポートしています。さらに、OsiriXの画像データベースは、AppleのBonjourプロトコルを介して他のOsiriXと、強力な「ゼロ・コンフィグレーション」通信プロトコル(パスワード保護を使用)で共有することができます。画像を共有するためのBonjourネットワークは、DICOM転送よりも高速です。

病院情報システムと放射線情報システム(HISとRIS)へのアクセス


放射線部門は、患者や検査の情報、スケジューリング、および会計を管理するために、放射線情報システム(RIS)を利用しています。
RISの実装数の増加は、AppleのMac OS Xプラットフォームに実装されるRISの数は増えてはいるものの、ほとんどのRISクライアントは、Microsoft Windowsシステムからアクセスされます。
取り扱うデータごとに、RISに接続する方法があります。
まず、検査のプランニングやドキュメント作成のためのフロントエンドなデータベースを介すことや、レポート作成にMicrosoft Wordなどのプラグインを使い、音声認識も商用のソリューション(例えばPhilips SpeechMagic)を組み合わせます。
RISのシステムがActive Directryに統合されていれば、また設定が変わります。

また、患者情報の通信プロトコルにHL7が利用されていれば、HIS、RIS、PACS間でシームレスに患者情報のやり取りができます。

仮想PC(仮想マシン)の作成


OsiriXを実装しているMacプラットフォームからWindows標準のRISにアクセスするための工夫として、ユーザがMacコンピュータ上でWindowsおよびWindows準拠のアプリケーションを実行できるように、仮想化ソフトウェアを活用できます。
仮想化ソフトウェアは、PCの中にゲストオペレーティングシステムを構築でき、医用画像ワークステーションのハードウェア構成であれば、これらのようなシステムを同時に起動させることができます。
このような仮想化ソフトウェアには、Mac用のParallels Desktop、VMware Fusion、VirtualBoxなどがあります。また、Mac起動時やユーザログイン時に、これらのソフト上に構築した仮想マシンを起動させることもできます。
内蔵ネットワークアドレス変換(network address translation:NAT)の機能によって、通常、仮想PCに個別のIPアドレスを割り当てる必要はありませんが、利用するアプリケーションによっては、個別のIPを設定する必要があるものも存在しますが、個別のIPが必要な場合でも、仮想マシンにIPを割り当てれば問題ありません。

最後に


OsiriXは学術的にも認められた高度な医用画像ワークステーションです。
このOsiriXを適切なMacシステムとともに利用することは、Speed、安定性ともに満足度の高いユーザ評価を受けており、RIS・PACS統合も実現可能であることを、マンハイム病院の事例から示しました。

Macだけにこだわるということではなく、適材適所で必要なソリューションを組み合わせ、ユーザのニーズに最大限答えることのできるシステムに大きな価値があります。

これからは、オペレーションシステムに縛られず、医療情報システムを選択する時代です。
WindowsシステムとMacシステム双方の良さを兼ね備えたマンハイム病院の事例のように、最適な解決策を探求してみてはいかがでしょうか。



2015年10月7日水曜日

第3回 OsiriXの導入事例:スイス・ジュネーブ大学病院

前回、OsiriXを用いた画像表示についてご紹介しますと書きましたが、先に、OsiriXが臨床に普及するきっかけとなった導入事例をご紹介したいと思い、急遽、テーマを変更いたしました。
画像表示については、次回以降書かせていただきます。

ジュネーブ大学15診療科(または部門)の画像解析のニーズを満たす


(ジュネーブ大学病院)


2005年以前、実はジュネーブ大学の内科医や外科医はとある非効率について問題を抱えていました。

もちろん、病院内で放射線科に限っては、高精細モニタ、多列検出器のPETやCTスキャナなどの新しいイメージングデバイスを導入していました。これらのスキャナなどから生成される画像は、治療の計画を助ける豊富な情報を提供します。

医師たちの抱えるとある非効率とは、これらの画像を表示し、解析するための効果的な方法がないことでした。そのため、この課題を解決する術を見つける必要があったのです。

その一つの例として、医師らは、洗練された画像解析を望む場合に、放射線科に設置されたイメージングモダリティに付属しているワークステーションを使用する必要がありました。これらのワークステーションは他の部門に設置するにはあまりにも高価であったため、他部署への導入が難しかったのです。

第二に、こういったワークステーションは、放射線科医以外の医師に使いやすように設計されていませんでした。

そして最後に、こういったワークステーションはそれぞれの医師が各診療分野で必要な本当に効果的・効率的な診断のための、DICOM画像データ解析機能を提供していないと感じている医師もいたようです。

やはり、臨床医が必要とするシステムは、自分のオフィスや会議室で使用することができる高度な解析システムだったそうです。

例えば、腫瘍の治療に関するミーティングなどで画像のレビューが必要だったり、他にも、脳神経外科や整形外科、心臓外科など、手術の計画時や手術時に、すぐに使える画像解析や表示のできるソフトウェアが必要とされていました。

「病院はどこでも同じ問題に直面しています」こう語ったのは、ジュネーブ大学病院放射線/イメージング部門の部長を務めるDr.Osman Ratib氏(以降、オスマン医師)でした。オスマン医師は言います「どのように我々は臨床医に画像を提供するのでしょうか?」。なかなか答えが出なかった状況だったようです。

その解となったのが、「OsiriX」でした。
OsiriXは、Apple社の技術である強力なMacベースのオープンソースDICOMビューア/ワークステーションです。

見事に、OsiriXは、臨床医たちの求めていた2D/3Dソリューションとして、導入されます。大画面の画像表示や高速情報処理計算など、ハードウェア面もMacに支えられて、実現できます。

セキュリティによる保護


ジュネーブ大学では、院内のIT部門と協力して、院内の必要な箇所にOsiriXを稼働させるためのMac ProやiMacを設置しました。OSはもちろんMacOSXで、このOS上にセキュリティ対策を施すことができます。対策を講じることで、患者情報を含む色々なデータの情報をセキュアに取り扱うことができます。

そして、2005年に、それぞれの放射線室をはじめ、放射線科全体で10のMacワークステーションをインストールしました。これは、院内に普及させるための初期段階のテストの意味もありました。

その他にも、利用するチームのためのセキュリティカードリーダの統合や、WebベースのイントラネットポータルとPACSとを統合し、COMPACSというシステムを構築しています。
このポータルから医用画像が参照でき、OsiriXを通して、個人を特定しうる情報の削除などを行えるようにしたのですね。

そして、放射線部門へのインストールは無事に終わり、導入は成功します。オスマン医師は、積極的にMacOSを導入して、稼働実績を作っています。

その後、最終的には、2007年から2008年にかけて、15診療科に、60のOsiriXワークステーションが導入されたそうです。

院内の医用画像に関わるシステムは、WindowsやLinuxなどといったOSがあるように、MacOSXも使われており、ジュネーブ大学病院のように、その実績も証明されています。

日本でも、薬事法が改定され、医薬品医療機器等法になり、プログラム医療機器が認められました。パッケージ製品にこだわる理由は、あまりなくなってきています。むしろ、部分最適をユーザが選択できる時代に突入したと言ってもいいかもしれません。

これからも、OsiriXには注目です!

ビジョナリーイメージングサービスは、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、GRAPHYを開発しています。オープンソースです。

参考記事:Geneva University Hospital. Filling the Image Analysis Needs of 15 Clinical Departments.