2015年10月7日水曜日

第3回 OsiriXの導入事例:スイス・ジュネーブ大学病院

前回、OsiriXを用いた画像表示についてご紹介しますと書きましたが、先に、OsiriXが臨床に普及するきっかけとなった導入事例をご紹介したいと思い、急遽、テーマを変更いたしました。
画像表示については、次回以降書かせていただきます。

ジュネーブ大学15診療科(または部門)の画像解析のニーズを満たす


(ジュネーブ大学病院)


2005年以前、実はジュネーブ大学の内科医や外科医はとある非効率について問題を抱えていました。

もちろん、病院内で放射線科に限っては、高精細モニタ、多列検出器のPETやCTスキャナなどの新しいイメージングデバイスを導入していました。これらのスキャナなどから生成される画像は、治療の計画を助ける豊富な情報を提供します。

医師たちの抱えるとある非効率とは、これらの画像を表示し、解析するための効果的な方法がないことでした。そのため、この課題を解決する術を見つける必要があったのです。

その一つの例として、医師らは、洗練された画像解析を望む場合に、放射線科に設置されたイメージングモダリティに付属しているワークステーションを使用する必要がありました。これらのワークステーションは他の部門に設置するにはあまりにも高価であったため、他部署への導入が難しかったのです。

第二に、こういったワークステーションは、放射線科医以外の医師に使いやすように設計されていませんでした。

そして最後に、こういったワークステーションはそれぞれの医師が各診療分野で必要な本当に効果的・効率的な診断のための、DICOM画像データ解析機能を提供していないと感じている医師もいたようです。

やはり、臨床医が必要とするシステムは、自分のオフィスや会議室で使用することができる高度な解析システムだったそうです。

例えば、腫瘍の治療に関するミーティングなどで画像のレビューが必要だったり、他にも、脳神経外科や整形外科、心臓外科など、手術の計画時や手術時に、すぐに使える画像解析や表示のできるソフトウェアが必要とされていました。

「病院はどこでも同じ問題に直面しています」こう語ったのは、ジュネーブ大学病院放射線/イメージング部門の部長を務めるDr.Osman Ratib氏(以降、オスマン医師)でした。オスマン医師は言います「どのように我々は臨床医に画像を提供するのでしょうか?」。なかなか答えが出なかった状況だったようです。

その解となったのが、「OsiriX」でした。
OsiriXは、Apple社の技術である強力なMacベースのオープンソースDICOMビューア/ワークステーションです。

見事に、OsiriXは、臨床医たちの求めていた2D/3Dソリューションとして、導入されます。大画面の画像表示や高速情報処理計算など、ハードウェア面もMacに支えられて、実現できます。

セキュリティによる保護


ジュネーブ大学では、院内のIT部門と協力して、院内の必要な箇所にOsiriXを稼働させるためのMac ProやiMacを設置しました。OSはもちろんMacOSXで、このOS上にセキュリティ対策を施すことができます。対策を講じることで、患者情報を含む色々なデータの情報をセキュアに取り扱うことができます。

そして、2005年に、それぞれの放射線室をはじめ、放射線科全体で10のMacワークステーションをインストールしました。これは、院内に普及させるための初期段階のテストの意味もありました。

その他にも、利用するチームのためのセキュリティカードリーダの統合や、WebベースのイントラネットポータルとPACSとを統合し、COMPACSというシステムを構築しています。
このポータルから医用画像が参照でき、OsiriXを通して、個人を特定しうる情報の削除などを行えるようにしたのですね。

そして、放射線部門へのインストールは無事に終わり、導入は成功します。オスマン医師は、積極的にMacOSを導入して、稼働実績を作っています。

その後、最終的には、2007年から2008年にかけて、15診療科に、60のOsiriXワークステーションが導入されたそうです。

院内の医用画像に関わるシステムは、WindowsやLinuxなどといったOSがあるように、MacOSXも使われており、ジュネーブ大学病院のように、その実績も証明されています。

日本でも、薬事法が改定され、医薬品医療機器等法になり、プログラム医療機器が認められました。パッケージ製品にこだわる理由は、あまりなくなってきています。むしろ、部分最適をユーザが選択できる時代に突入したと言ってもいいかもしれません。

これからも、OsiriXには注目です!

ビジョナリーイメージングサービスは、日本(特に神奈川の)ユーザーのニーズにいち早く応えるために、GRAPHYを開発しています。オープンソースです。

参考記事:Geneva University Hospital. Filling the Image Analysis Needs of 15 Clinical Departments. 













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